卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2019-01-01から1年間の記事一覧

大嘗祭とフランシスコ教皇

この一年間、市場流通と食品その他の記事を書いて来たが、締めくくりは世のなかの仕来りに従って2019年を振り返る。食品流通以外で印象に残ったのは大嘗祭とフランシスコ教皇の来日である。 五穀豊穣への祈り 大嘗祭は新天皇が即位式で新穀を供え、五穀豊穣…

まぐろ人気広がる−市場の直売所

刺身まぐろ供給逼迫が懸念されている中、市場祭りや小売店頭でのイベントの花形は「まぐろ解体ショー」です。 大阪堺と埼玉川越、神奈川小田原の三つの市場の「直売所」を紹介します。 大阪堺中央綜合卸売市場 街のみなと まぐろパーク 写真1「まぐろパーク…

物流改善がカギ−合理化検討会

仙台市場青果部の共同配送施設 青果と水産における食品流通の鍵を握るのが第一次産業です。そうした意味でも、昨日紹介した小田原漁況と小田原水産地方卸売市場のコラボは意義のある取り組みです。 青果はTPPや日米FTAの流れで試練に立たされていますが、水…

漁況と地方市場のコラボ−JF小田原水産の取り組み

3階建の「漁港の駅・TOTOCO小田原」 改正市場法後の取り組みとして注目されるのが、産地市場と消費地市場の連携です。小田原漁港の再開発で11月にオープンした「漁港の駅・TOTOCO小田原」が基本的に完成したので、先だって小田原漁港に行ってきました。 多…

横浜本場は公設公営維持

2019年11月17日(日)に開かれた横浜本場の市場まつり 横浜市中央卸売市場開設運営協議会(若杉明会長)は、横浜市から諮問されていた改正市場法に伴う横浜市中央卸売市場(横浜本場)の運営方式について引き続き公設公営を維持していくことが望ましいと、次の…

松山水産市場の「魚嫌い川柳」

俳句や川柳の人気が復活しているようだ。そのきっかけの一つが伊藤園のお茶のペットボトルである。実にきめ細かく子供から大人までの俳句を印刷してある。時々買うたびに違う句が載っていて相当長くやっているので膨大な量になるだろう。私もこれがあるから…

史上最大のサバ読み

山形県の新庄駅に飾られていた 先日、国立劇場で吉右衛門の歌舞伎を見た。吉右衛門の体調が悪く、先月、休演というニュースを聞いたので心配していたが、元気に立ち回りをやっていて安心した。 時々、文楽や歌舞伎に行くが同じ時期に同じ演目をやるケースが…

「賑わいゾーン」は市場機能か

2019年9月20日オープンのブランチ横浜南部市場 消費者開放はイベントなのか、あるいは市場機能の一つなのだろうか。 卸売市場の中に消費者の一般開放施設を設置する動きが広がっている。初めは関連店舗の不振を打開するためで、次に仲卸も参加し、卸も商品供…

奈良中央市場再整備基本計画−市場機能強化と賑わい共存(下)

(上)からの続きです 現状と課題 社会環境の変化 農業担い手の高齢化 奈良県の農業従事者の平均年齢は68.8歳で60歳代と70歳代が主体。40歳代までの農業従事者はわずか7% 市場取扱高の減少 青果は平成10年361億円から平成30年には315億円に減少/水…

奈良県経済活性化の拠点に−市場機能強化と賑わい共存(上)

県営の中央市場は全国に沖縄、三重、奈良の三市場ある。 いずれも市場整備に直面しているが、その先頭を切って、奈良中央市場が9月県議会経済労働委員会に奈良中央市場再整備基本計画を報告した。 それによると、15万平米ある現在の市場用地を大きく二分し…

神様と芸人

伊勢神宮と出雲大社はどちらも好きです。特に出雲大社の白く枯れたヒノキと白砂は人智を超えた荘厳さです。 神存月(かみありづき)10月に、出雲大社に集まる神様が、宿泊するのか会議をするのか知りませんが、日本中の神様が集まる場所が本殿ではなく、小…

水産資源から見た市場流通

豊洲市場で行われた東京水産振興会主催の講演会「水産資源の現状とこれからの豊洲市場流通について」を聞いた。 講師の和田時夫・漁業情報サービスセンター会長と、婁小波・東京海洋大教授は、お二人ともに水産資源の問題に詳しい研究者である。 豊洲市場の…

経営と営業の分離−栃木県南市場の青果卸に荒井商事−

公設市場から民営市場に転換した栃木県南地方卸売市場の開設会社「荒井商事株式会社」(荒井亮三社長)は、花き部門に続き青果卸売事業も経営権の譲渡を受け、2019年8月1日から「荒井県南青果(株)」として営業を開始した。 これで荒井商事は、公設市場の…

福岡大同青果ベジフルロジセンター−市場外で量販店のバックヤード機能−

福岡大同青果(丸小野光正社長)は、市場内のバナナ加工センターに続き市場に接した土地約1万㎡を取得し配送センター「ベジフルロジセンター」を建設稼働させている。市場外に土地を取得し独自に集荷・加工機能を持ち365日、24時間稼働を目指す福岡大同…

改正法の試金石となる東京市場

東京都の条例改正案が2019年11月28日に開かれた取引業務運営協議会で答申され、11月5日の市場審議会の了承を経て12月都議会に上程される。 すでに京都市が上程されていて、今後、中央市場を開設する自治体で来年6月までの卸売市場申請に向けて条例策定が進…

島津製作所のファンです

もう記憶は定かではありませんが、京都の広隆寺は昔、薄暗い廊下のような場所の、手が届きそうな近くに仏像が並んでいて、彼岸への途を思わせる風景でした。 あまりの優美さに画学生が弥勒菩薩に抱きつき指を折った(画学生でなく弥勒菩薩の指です)事件があ…

足利市場民営化スタート

公設から民営化した足利市場の新施設が完成、2019年9月4日に竣工記念式典が行われ、9月24日に新施設での全面開業がスタートした。足利市場は、市場用地を所有する「丸足足利海陸物産市場」(石内昭男社長)が開設会社となり、約12億円をかけて解体、新設…

全魚と全青協が事務所統合

活発な活動を続けている全青協(大阪大会) 改正市場法の施行に備えて、全国魚卸売市場連合会(全魚卸)はこのほど事務所を東京秋葉原にある全国青果卸売市場協会(全青協)の事務所に移転し、富山武夫・全青協理事が全魚専務も兼任し、事務局体制を統合した…

豊洲市場で開場1周年

2019年10月11日、まるで豊洲市場の苦境を象徴するかのような開場一周年記念式典が、豊洲市場管理棟で行われた。 折しも未曾有の台風接近のニュースが流れるなか、会場には限られた関係者のみ約100人が参加。農水省の武田卸売市場室長が約30分の講演を行っ…

水産仲卸の記者会見

2019年10月17日、仲卸組合の団体である全国水産物卸組合連合会(全水卸組連)の正副会長など10人の幹部による記者会見が豊洲市場の東卸組合会議室で開かれた。 総会ではなく、臨時に全国の幹部が揃って記者会見を開くことは珍しく、特別な発表でもあるのか…

手数料業者からの脱却

全国青果中央市場の取引は、野菜の64%が委託によって集荷されているが、販売は相対取引が91.6%であり、セリ・入札はわずか8.4%である。 委託集荷したが、産地の指値は1000円なのに、せりで800円しか出なかった。「そういう場合もある」ならば、…

集荷対策費の解決策

集荷対策費の解決策はあるのだろうか。 実務的な解決は簡単である。受託から買い付けにすれば1000円で仕入れた青果物を800円で売ろうが700円で売ろうが違法ではない。あるいは特別出荷奨励金ということでも処理できないことはない。しかし売れば売…

人材活用による市場活性化

川越市場の直売所「生鮮漁港川越」での週末イベント「まぐろ解体ショー」 卸売市場の仲卸売場では毎日見ることができる風景ですが、さすがに市場です。解体している人も「大者」でしたが、この日のまぐろも107キロの大物です。 まぐろ解体ショーは市場まつり…

真夏のバーベキュー

バーベキューブームらしい。まだ行ってはいないが川越市場の直売所「生鮮漁港川越」も先月、隣接してバーベキュー施設を拡張した。 京都でも見た。京都市場の外というか中というか、京都市場は公道と私道が入り組んでいてよく分からないが、その一角にある倉…

集荷対策費とは何か

「集荷対策費」とは何か。業界関係者にとっては周知のことだが、念のために説明する。 産地は委託で出荷する青果物に対し「この価格で売ってくれ」という希望価格を出し、卸は希望価格通りに売れないと、差額分を負担しなければならない。強制ではないが明日…

市場と8階建ホテル

2019年9月上旬、京都に行った。前回、1年前くらいだろうか。京都駅は日本人、外国人入り乱れてコンコースが通勤ラッシュ並みだったが、今回はそれでも多いが前回よりは空いている。 31番線、山陰本線に乗った。この線も昔はガラガラだったが、学生さんでい…

「卸は手数料業者」は幻想である

名古屋セントライ青果が産地に支払っていた「集荷対策費」に対し、名古屋国税局が「贈与」であると認定し4年間の累計で7億3千万円の追徴課税を行った。市場法改正よりも大きな青果市場の大問題となっている。 青果市場の卸にとって、実際の売値よりも高い…

沖縄の風を受けて

沖縄に居る。湿気が少ないので暑いわりに汗をかかない。どこにもベンチがあって日陰で風を受けると、冷房の効いた喫茶店よりはるかに気持ちがいい。 昨日の夜、沖縄市場の方と夕食をご一緒し、沖縄料理を食べた。酒は飲めないのだが、酒のつまみは好きで、い…

変化に対応する卸売市場のあり方

武田裕紀 農林水産省 食料産業局食品流通課 卸売市場室長 2019年8月21日〜23日の三日間、東京豊洲のNTTデータ本社において「全国生鮮流通フォーラム」(パーソナル情報システム、NTTデータ関西主催)が開かれた。以下、講演者の講演概要を順次紹介する。 人…

お不動さまのジャムセッション

この写真は御本尊の不動明王ではありません 深川に住んでいます。近くにお不動さまがあって、全くの不信心ですが、時々行きます。365日、毎日必ず9、11、13、15、17時の5回行われる加持祈祷を聞くためです(特別な日はもっと多い)。 新しい建物になる前は…