卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

横浜本場は公設公営維持

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2019年11月17日(日)に開かれた横浜本場の市場まつり

横浜市中央卸売市場開設運営協議会(若杉明会長)は、横浜市から諮問されていた改正市場法に伴う横浜市中央卸売市場(横浜本場)の運営方式について引き続き公設公営を維持していくことが望ましいと、次の通り横浜市に答申した。

「卸売市場法改正に係る市場の運営方式については、次の理由から、公設公営として横浜市が開設運営の役割を引き続きになっていくことが望ましい。」

  • 生産者から消費者まで、すべての関係者に信頼される安全安心な市場を継続的、安定的に運営していく必要がある。
  • 法改正にともなう市場の様々なルール策定では、市場の活性化に資するルール策定が重要である。これまで元素機禁止されていた第三者販売や直荷引きなどの取引ルールをどのように定めるかについては、事業者間の利害関係を超えて、市場の活性化につながるルール策定が求められる。策定にあたっては、各事業者との信頼と相互理解に基づき、公平・公正で納得感のある調整を行う必要がある。
  • 中小の小売店や飲食店などは流通ルートが限られているため、いつでも適正価格で生鮮食料品等を調達できる場としての必要性が高い。
  • 市場取扱高が減少傾向にあり、各事業者の経営環境も厳しいなか、すべての関係者が連携して取扱高を改善し、市民に対して生鮮食料品等を安定供給していくという重要な公共的役割への対応が求められている。
  • 市場には小売店、飲食店、仲卸業者など多くの中小事業者がかかわっている。横浜市中小企業振興基本条例及び横浜市の商店街の活性化に関する条例を踏まえた取組を推進する横浜市が開設者となることで、中小企業振興や商店街活性化とも連動した市場活性化への相乗効果が期待できる。
  • 市場で取扱う生鮮食料品等や衛生環境には高い安全性が求められており、横浜市が開設者となることで、市災害対策本部の一員として迅速な対応が期待できる。
  • 市場周辺のまちづくりにおいても、中央卸売市場の特色を生かした賑わいづくりは、市場の活性化につながるチャンスである。京浜臨海部再編整備マスタープランにおける、本場周辺地区の低未利用地の活用など中短期的な取組や埋め立て後の長期的な取組についても、横浜市が開設者となることで、総合的な取組が期待できる。

以上のことから、横浜市が開設運営者となり、これまで長年の間培ってきたノウハウを活用し、場内事業者を含めた現行の体制で官民一体となって市場の活性化を推進していくことが望ましい。運営については、指定管理者制度の導入など、効率・効果的な運営体制を引き続き検討していくことを期待する。