卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2018-01-01から1年間の記事一覧

良い年を過ごすために

卸売市場業界にとって、今年は文字通り、歴史的な転換期となりました。10大ニュース風に言えば、間違いなく一位は、2018年6月22日に制定・公布された改正卸売市場法となるでしょう。 10月には、政省令と食品等流通合理化促進法が公布、即日施行されました。…

丸果秋田県青果、復調から飛躍に向けて-県外販売開拓に活路

約14万㎡ある秋田市公設地方卸売市場 秋田市公設地方卸売市場の「丸果秋田県青果(株)(高橋良治社長)」が好調だ。 2018(平成30)年3月決算で東北市場青果卸10社平均が前年比93%となり全社が前年を下回る中で、丸果秋田は99.6%とほぼ前年取扱高をキー…

豊洲市場仲卸の業務停止について

すでに度々報道されているが、豊洲市場の水産仲卸2社に2018年12月1日から1か月間の業務停止処分が出された。また、東京中央市場労働組合(東中労)も15日間の業務停止処分となった。仲卸業者にとって、最大の繁忙期である12月を丸々営業できないことは致…

お雑煮と酒は正月の神事

2018年12月はじめに山形、秋田、上田、長岡の各市場を回りました。幸い、雨にも会わず穏やかな日差しでしたが、帰った夜に雨、翌日に東北各地に雪というニュースがあり、それでもう冬なのだという思いが急に強くなりました。 庶民が正月を祝い雑煮を食べるよ…

群馬県下卸3社が共同配送-「海商水産FFC流通センター」を柱に

群馬県桐生市場にある海商水産FFC流通センター 改正市場法下での市場機能の中心は物流の効率化によるサプライチェーンの効率化とバリュー化の実現である。 その物流効率化の一つの試みとして、群馬県の桐生市場を中心に海商水産と群馬丸魚、マルイチ産商の卸…

東北の温泉は素晴らしい

冬になると温泉が恋しくなります。 関心のない人には読む価値のない温泉談議です。 先だって山形、秋田、長野の市場を回りました。 長野も東北も温泉の宝庫です。 山形新幹線には、かみのやま温泉、赤湯など温泉名がついている駅があります。 鳥取駅前には「…

卸売市場の命運にぎる物流-その2

来る人のための物流から届けるための物流施設を 生鮮食料品における市場流通は、国の参考図にもよく出ているように産地から卸売場へ運び、そこから仲卸・買参人に販売し、仲卸・買参人は卸売場からの商品の移動は全て責任を持つ。施設整備は全てこの流れを基…

太ったソクラテスでなにが悪い

前にも紹介しましたが、肉食禁止時代に猪を山鯨、鹿をモミジ、馬肉をサクラ、鶏肉をカシワと言ったのも言葉の遊びです。しかし豚はせいぜい「トン」と音読みするだけで言葉の遊びがありません、豚はそのまんま豚です。これは不当な差別ではないでしょうか。 …

鹿児島市中央卸売市場魚類市場、高床式と平床式売場を併用

50%完成した鹿児島魚類市場。右が高床式、左側がこれから整備される平床式 鹿児島市中央卸売市場は青果市場(昭和51年移転開業・97,353㎡)、 魚類市場(昭和42年新設開場・水産30,151㎡)に分かれており、一時、総合市場化も検討されたが実現せず、現在地…

水産「大都」花き「FAJ」青果「神明」、成田市場青果卸に神明が進出

株式会社 神明ホールディングス(代表取締役社長 藤尾 益雄)は2018年11月20日、成田市公設地方卸売市場の青果部卸売会社「(株)成田市場青果(小泉 嘉美社長)」の発行済株式70%を取得する譲渡契約書を締結したと発表した(平成30年12月取得予定)。 これ…

卸売市場の命運にぎる物流-その1

物流からロジスティクス、SCMに 最近知ったのだが、役所用語に物流という言葉はないらしい。 改正卸売市場法にも「流通の効率化」という言葉が使われているが、これではイメージが広すぎてなんでも入ってしまう。物流を文字通り解釈する…

包丁とまな板

一時期、子供たちが肉ばかり食べていると大人になっても野菜や魚を食べないのではないかと言われましたが、現在、日本の食文化は世界に広がりつつあります。 平均年齢がどんどん上がってきても、そうしたアンバランスな傾向は出ておらず、高齢化社会になった…

卸売市場の物流改善には何が必要か-三和陸運(株)井上博保社長に聞く

井上博保社長 三和陸運は博多に花専用冷蔵配送センターを建設し、九州全域から関西へと配送網を広げている 新卸売市場法は、これまでになく物流の重要性を強調している。今後の施設整備の支援対象を、①物流、②品質管理、③情報、④輸出の4つの機能を中心とした…

女性が支える日本文化

私のホームグランドは図書館やチェーン喫茶店です。時代の変化にはなかなか付いていけない高齢者でも、携帯電話とパソコンには感謝しています。一時期流行ったレンタルオフィスなど借りる必要はありません。 図書館は、冷房が効いていて本が読めて夜までやっ…

団十郎と水神様

築地市場の解体が始まり、市場内にあった水神様も築地から引っ越した。豊洲でも海の安全を願う祈りは同じである。 築地市場の水神様は長い歴史があるが、個人的な記憶にあるのは、12代目市川團十郎が築地魚河岸会(伊藤宏之会長)主催で毎年行われている水神…

全国青果卸売市場協会(全青協)創立60周年・法人化45周年記念、第51回秋の九州・熊本大会

全青協熊本大会、地方市場の挑戦 全国青果卸売市場協会(全青協)の創立60周年・法人化45周年記念、第51回秋の九州・熊本大会が2018年10月23日、熊本ANAクラウンプラザホテルで行われた。 テーマは「激変する環境の中でも農業活性化と成長発展を目指す地方市…

風景が一変した場外市場、試練の時-築地ノスタルジー

2018年10月7日 2018年10月10日 写真は2018年10月7日と10日の築地場外市場メイン大通りの風景である。右手に築地市場、手前が市場通りで、一番奥に波除神社がある。日曜日(7日)の朝の商店街としては普通であろう。しかし10日の写真は水曜日の午前11時頃で…

市場施設整備の考え方

豊洲市場の整備がようやく終わった。しかし、今後も市場整備は続く。京都や鹿児島が再整備中であり、広島、和歌山、横浜など次々に再整備を計画している。地方市場も成田が20億円以上の国の支援を受けて整備中である。 今後の施設整備は、1.物流、2.品質管理…

古墳時代より身長が縮んだ

先日、区役所から健康診断の通知が届いたので受けてきた。 私の身長は163センチだった。ショックだった。身長が気になる高校生の頃は166センチあった。 私は典型的な胴長短足で、身体測定の時間には、身長はなるべく高く座高はなるべく低くなるよう努…

築地ノスタルジー

主人の居なくなった館はこんな感じなのだろうか。 築地市場最終営業日となった2018年10月6日、土曜日の混雑ぶりと引っ越し作業が始まった7日の築地市場を見た。すでに個別に引越しの準備は進めていたので8〜10日、三日間が引越し期間はほとんど混乱はな…

豊洲市場と営業権

「築地市場は閉場しました。豊洲市場をご利用下さい。」と書かれ、正門は閉鎖された 解体工事に入った青果部(10月18日) 豊洲市場が2018年10月11日にスタートして一週間、引越し作業のための暫定使用期間が過ぎて17日で閉鎖された。しかし、閉鎖された18日…

開設者に新たな難問-全仲卸業者の決算書提出義務付け、業務運営報告書に添付

中央市場、地方市場を問わず全ての卸売市場の法人仲卸業者は、毎年、決算書提出を義務付けられることになった。開設者にとって、申請書や業務規程の策定が今後の重要課題になると思われているが、ここに全仲卸の決算書を添付という難問が新たに加わることに…

豊洲市場上々のスタート-場内物流の改善に課題

引っ越しの混乱なし 豊洲市場が上々のスタートを切った。 10月6日、土曜日に築地市場は営業最終日を終えた。 6日午後から10日にかけて、千社に及ぶ築地市場業者が引っ越しを開始、10の日曜日午前5時には臨時に使用が認められた環状2号線を小型搬送機・タ…

横浜丸魚とロピアの挑戦-川崎丸魚が10月1日本格稼動

川崎南部卸売場 横浜丸魚と量販店ロピアの合弁卸として注目されている川崎南部市場卸「川崎丸魚」は、10月1日から量販店「ロピア」への商品供給を本格稼働した。 当面はトラック14台で川崎、横浜を中心に26店舗向け配送を行う。 川崎丸魚は資本金5000万円(…

老いの温泉談議

他人に自慢出来る私の数少ないひとつが温泉通いです。数えていませんが100カ所以上は行っているでしょう。 何をするわけでもなく、ただ、単純に温泉を楽しむだけで、酒も料理も宿も関心はありません。風呂好きは昔からで、早くて1時間、長ければ2時間、自…

成田新市場移転に補助金-使用料の激変緩和も導入

土地造成進む成田新市場用地(成田市天神峰道場) 成田新市場に入場する現・成田市公設地方市場の卸、仲卸に対し2018年9月11日に説明会が開かれ、新市場の使用料、移転支援策を明らかにした。 成田新市場は2020年の開場を目指し、成田空港近くの元・千葉県花…

春秋の争い

私は柔軟性がある(おおざっぱな)性格ですから、夏の間は暑いから冬がいいと思い、冬になるとやはり夏がいい、夏は貧乏人の味方だと毎年思っていましたが、近年の猛暑と冬の大雪は、どちらが好きかというレベルを超えています。 春と秋は素直に、秋になれば秋…

新卸売市場法のキーワードは物流-「入る物流」から「出る物流」へ

新卸売市場法の法的な整備が着々と進んでおり、現在、全国で農水省の説明会が再び行われている。「再び」ではない、3回目か4回目になるだろう。 業界幹部や学識経験者を集めた従来の委員会方式から、直接、法律を作っている部門が業界に意見聴取や説明を行う…

毒になる奴が煮ている薬喰い

最近は、鶏肉やレバ刺し、牛肉の刺身まで食べることが出来るようになりましたが、個人的には生肉は苦手です。 「お造り」でエビや鯛の尻尾が動いているのも苦手です。白魚の「踊り喰い」も昔、ご馳走になったのですが、食べることに必死で味の記憶はありませ…

豊洲市場開場記念式典-「安全・安心市場へ」小池知事

小池知事を真ん中にテープカット 2018年9月13日、豊洲市場7街区水産卸売場で行われた豊洲開場記念式典を取材した。 市場前駅に下りると、反対のチラシを配付している人もいて、入場も厳密にされている。式典参加者は886人と発表された。市場内で行われるイベ…