卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

共同利用で小口配送展開‐新たな食品SCM「豊海流通センター」竣工

改正卸売市場法の下で、アフターコロナの食品流通におけるITを活用した非接触・非対面販売は定着するだろう。 その時に、「来てもらう取引」から「届ける取引」の場として、卸売市場がどのように変わるか、その一つの方向を示すケースとして、2022年3月1日…

なぜ卸売市場には公設と民営の二つがあるのか‐卸売市場雑学雑談その2

一心太助は小売買参人 元々「市場」(いちば)は、民・民の取引の場ですから、全てが民営市場でした。しかし、古くから「座」や「株」によって一定の制約があり、誰でも自由に商売ができたわけではありません。行政の許可も必要でした。 例えば江戸時代の日…

「卸売市場」をどう読むか‐卸売市場雑学雑談その1

「卸売市場」をどう読むか 卸売市場は「おろしうりいちば」と読むのか、「おろしうりしじょう」と読むのでしょうか? 株式市場を「かぶしきいちば」と読む人はいないでしょうが、証券取引所の取引用語には卸売市場と共通する用語がたくさんあることはご存知…

路面電車が好きだ

ビルの谷間の春も去った(4月1日/日比谷公園) ささやかな収入だが一応、確定申告を行なっている。経費を整理していて驚いた。コロナ禍の中で、どういうわけか、昨年2021年は16回出張に行き宿泊していた。 会社勤めの頃は寸暇を惜しみ、サウナに泊まって…

コンパクト化・物流機能中心に再整備‐飯塚市公設地方卸売市場

改正卸売市場法時代における市場改革は、物流機能及びEC取引を含めた情報機能強化に集約されるだろう。現在、多くの卸売市場が直面している施設再整備も、この二つの機能をどう取り入れるか「機能特化市場」が最大の課題である。 改正卸売市場方時代の機能…

京都中央市場再整備‐まちと共存する都市型卸売市場

京都市中央市場水産棟鮮魚部門。塩干は令和4年度完成。躯体部分を活用、整備費は約162億円 令和3年9月に京都市中央卸売市場新水産棟(京都市中央市場水産棟)第1期エリア(鮮魚部門)が完成した。京都市中央市場は京都駅から嵯峨野線で2分の梅小路京都…

サクラ咲いた、ウグイス鳴いた

このところ地震が相次いでいる。津波の被害がなかっただけでもホッとしたが、東北は大変だと思う。3.11の記憶はまだまだ消えないだろう。 東北新幹線の事故を契機に、脱線防止の取り組みがなされていたことを知った。関係者の努力に敬意を抱きながらも、私は…

コロナ禍と市場

暦には数百の「…の日」があるらしいが、2022年2月22日は「スーパー猫の日」だという。なるほど、初めて知った。 テレビも一日中、猫特集をやっていて人気である。YouTubeでペットの動画をよく見るが、「アース製薬」が「ニャース製薬」の名前で宣伝す…

ワンストップ型輸出機能特化型市場とは? 〜成田新市場を見る

成田市公設地方卸売市場(成田新市場)が2022年1月20日に開場した。 長い卸売市場の歴史でも初のケースとなる「輸出機能に特化した卸売市場」である。多くの卸売市場にとって、輸入は関係があっても輸出に市場として取り組むことはほとんどなかっただろう。…

レンゴー伊勢崎支社が移転統合‐ぐんま県央青果100億円超え、群馬トップ卸に

県下トップ市場となる ぐんま県央青果(高崎地方市場) 長野県連合青果伊勢崎支社は2月10日に高崎市場に移転し3月31日まで営業、2022年4月1日から「ぐんま県央青果」と合併し、ぐんま県央青果として営業する。 ぐんま県央青果は、昨年4月に長野県連合青…

新会社「株式会社R&Cながの青果」‐倉崎浩社長、堀陽介副社長で4月1日スタート

地方市場卸の「R&Cホールディングス」が全国トップクラスの規模となる(長野地方市場) R&Cホールディングス(堀雄一社長)は4月1日に統合する長野県連合青果と長印の体制・人事・経営理念について2022年1月14日、次のとおり発表した。 1. 新会社名…

食事は神事である

去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの(虚子) 明けましておめでとうございます 昔は、昨日と今日と何が変わる、何がめでたいと思っていましたが、近年とみに、一年を無事に終え新しい一年を迎えることが出来たことを感謝するようになりました。最近は一…

師走とSDGs

今年も師走を迎え、どうやら無事に年を越すことができそうです。 若いころ高齢の方から「何歳にみえる?」と聞かれて困った経験があります。当時は、50歳以上は皆「年寄り」で一括りでしたから「関心ないし分かりません」と答えるわけにもいかず、いくつと言…

岸和田の魚を全国に‐大阪府鰮巾着網漁業協同組合の「泉州生シラス丼」

だんじり祭りで知られる岸和田にある大阪府鰮巾着網漁業協同組合は大阪湾の漁獲ナンバーワンの漁協である。その漁協直営の「きんちゃく家」で泉州生シラス丼を食べた(写真)。 グルメリポーターの表現力がないので、感想はただただ美味かったと言うだけであ…

地方市場のあり方とR&C戦略‐堀雄一氏の話を聞いて

初冬の富士は美しい(湘南深沢) 2021年11月26日、オンラインで開かれた藤島廣二氏が主宰する「市場流通ビジョンを考える会」を聞いた。「ポスト・コロナの卸売市場を考える」を統一テーマに小暮宣文氏の講演と磯村信夫氏、堀雄一氏、松尾昌彦氏による鼎談で…

成田新市場施設完成、2022年1月20日開業

2022年1月20日に開場する成田新市場の主要な施設がほぼ完成した。 成田新市場は既存の成田市公設地方卸売市場の移転新設だが、実質は国の主導による輸出(入)に特化した卸売市場であり、旧市場とはさまざまな面で全く違っている。 「輸出特化市場」は…

仙台市場で銚子漁協フェア

2021年11月12日、仙台中央市場でキンメを中心にした「銚子漁協フェア」が開かれた。午前5時半、仙台水産売場の一画に、特種部や営業企画の社員が用意した会場が設けられ、仲卸や買参人が集まる。 準備段階から見守っていた本田誠社長は「今回は銚子漁協のキ…

栗林公園の鶴亀松(つるかめのまつ)

「鶴亀松」110個の石を組み合わせ亀の形に配し、その上に松が鶴にように舞っている。 栗林公園で最も美しい松である 公園といえば水戸偕楽園、金沢兼六園、岡山後楽園の三園が有名だが、私のお気に入りは高松にある栗林公園(りつりんこうえん)である。…

賑わい機能と市場‐対面販売の課題

移転前の築地市場関連棟の飲食店街消費者は市場のどこに魅力を感じているのだろうか 市場流通における対面販売機能は、主に仲卸と関連が担っている。旧卸売市場法は売買参加者制度と仲卸制度を導入することによって、集荷は卸、評価と分荷は仲卸とする役割分…

卸はなぜ配送機能を重視してこなかったのか

市場業界にとって、物流の「24年問題」が新たな重要課題となっている。 これまで物流問題は取り組みが強調されてはいても「やるべき」論にとどまる部分が大きかった。しかし働き方改革関連法に基づき、24年度からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が…

非接触、非対面型物流と水産市場‐eコマースの取り組みはなぜ遅れたか

卸売市場はeコマースや物流への対応が遅れているとの指摘は昔からあったが、これは必ずしも市場業者の責任によるものではない。市場流通において「市場に来る人に売る」商物一致の取引原則が全面的に改められたのは2020年の改正卸売市場法施行からである…

仙台あおば青果業務開始‐安藤会長、佐藤社長体制

10月1日午前6時 卸売場で業務開始式が行われた 仙台市中央卸売市場(仙台中央市場)の青果卸「宮果」と「仙台中央青果卸売(仙印)が統合し「仙台あおば青果」が発足、10月1日、業務を開始した。代表取締役会長には仙印の安藤堅太郎社長が、代表取締役社…

鯨尾肉を食べた

9月28日 仙台市場上場記念!/仙台水産グループ海鮮市場HPより クジラの尾肉を刺身で食べたーこう言えば市場関係者なら誰もが羨むだろう。だから書こうと思う。2021年9月28日、ニタリクジラが仙台市場に上場され、最高値キロ赤身7000円、尾肉10万円と豊洲…

コロナ禍 明暗くっきり 青果と水産‐青果は半数が売上増、水産売上増は2市場のみ

農水省はこのほど、8月末時点における新型コロナウイルスの卸売市場に対する影響とその対応策についてまとめた。 1.取扱高の状況 コロナ禍における卸売市場の令和3年1-6月は、青果が24市場、約半数の市場がコロナ前より取扱高を増やしたのに対し、水産は34…

能登のさかな

平日の午前中とあってガランとしている能登食祭市場 先日、能登半島に行き一泊した。 金沢からIR石川鉄道の各駅停車に乗って80分、黄金色に波打つ稲畑が続く。能登地域の地層は珪藻土のためハウスが少なく稲作が多い。食べる意欲・能力は衰えたが、能登に…

改正市場法の先駆的役割‐仙台水産の取組に学ぶ

東北の拠点、仙台市場の役割はさらに重要になってくるだろう(仙台市HPより) (「全水卸」9月号より転載) 市場流通は水産、青果ともに長期低落傾向が続いている。近年は横ばいないし若干の取扱増となっているが、社会的に果たしている機能は充分とは言え…

コロナ禍のなかで

東京2020オリンピック・パラリンピックがようやく終わった。 オリパラ反対なら見るなという意見もあったようだ。私はオリパラはやらない方がいいと思っていたが、やれば見るし選手の応援もする。当然だろうと思う。 新型コロナの影響が始まって2年近くにな…

改正市場法と機能強化‐横浜魚類の取り組み

(「全水卸」7月号より一部転載) コロナ禍が続く中、市場流通の変化もまた静かに進行しつつある。施設整備に取り組む中央市場共通の課題は、市場用地の単なる縮小ではなく「余剰地」の設定による機能強化と施設建設・運営におけるPFI(プライベート・ファ…

横浜本場青果部再整備進む‐新たに三棟の物流施設

横浜市中央卸売市場本場(以下:横浜本場)青果部の再整備が進んでいる。横浜市は平成27年に横浜南部市場を廃止し、12万㎡を物流エリア、5万㎡を賑わいエリアと分け、横浜本場の補完機能を担う場とした。 そして横浜本場も水産部の低温化につづき、青果部も…

公設民営化から民設公営化の動き‐公設と民営の接近

(農林リサーチ2021年9月号より一部転載) 改正卸売市場法の下で特徴的な動きがもう一点、公設市場におけるPFI(民間活力導入)による公設と民営の接近である。 改正卸売市場法以前にも、公設市場の民営化は進められていた。その「公設市場の民営化」と…