卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

取材メモ 冬から春へ 石巻・山形‐雪が降り、山も海も喜んでいる

JR石巻駅では石ノ森章太郎の仮面ライダー、サイボーグ009が迎えてくれる 寒い時は寒く、暑い時は暑い。 日本の四季はこの当たり前の季節の変動を受け入れて、それに合わせて生活してきた。 2月、宮城と函館に行き、車中から降り頻る雪を眺めながら、前夜…

佐賀青果に学ぶ‐県下8市場取扱高の70%シェア

佐賀青果市場 民設民営の地方卸売市場 「佐賀青果市場」が存在感を増している。佐賀青果は3年連続で100億円を突破、佐賀県下にある8青果市場の取扱高の約7割を占めている。交通の要衝にある立地とJA系市場の利点を活かした機能を整備し、博多、北九…

さっぽろ雪まつりを見た

さっぽろ雪まつりを見た。 2月7日と8日、札幌に行った。 仕事なのだが、飛行機を取るときに満席に近かった。札幌はやはり人気だなと思っていたら「さっぽろ雪まつり」だった。 パソコンとスマホがあれば「一人在宅勤務」なので、どこでも仕事ができる。 札幌…

24年問題と市場流通その2〜運送業界の立場から

大きく被災した能登半島にある七尾。市役所正面には無名塾・仲代達矢氏筆の「市民のねがい」がある。七尾市は和倉温泉に接し与謝野晶子の歌碑もある文化都市である 明けましておめでとうございます 年末も新年も変わらずめでたいと思っていましたら、能登半…

24年問題と市場流通その1

豊洲市場水産部搬入口 24年問題がいよいよ現実の課題となる。2023年6月に出された「緊急に取り組むべき抜本的・総合的な対策」(物流政策パッケージ)に基づくトラックドライバーの労働時間上限規制が、24年4月からスタートする。市場業界として24年問…

陽気な年の瀬 紅葉見た!フカヒレステーキ食べた!

今年も、ようやく師走を越すことができそうだ。来年6月で79歳。人生の大半を使い果たしている。「余命いくばくもない」の言葉を実感する日々である。 ブログも長く出さなかったが、今年は総務省の地方公営企業アドバイザーの肩書きで年間、数十回の出張があ…

首都圏に100キロ、首都圏対応のSCMの拠点目指す〜ぐんま県央青果 堀 淳 社長に聞く(下)

前号からの続き(農林リサーチ23年9月号より転載) ぐんま県央青果 堀 淳 社長 ―次に他社にとって大きな関心は、どのような経営を行うことで成果を得ることができたのかだと思います。具体的な取り組みでは何が変わったのでしょうか?。 堀=ここまでの実績…

24年問題はチャンス〜首都圏対応のSCM拠点目指す〜ぐんま県央青果 堀 淳 社長に聞く(上)

(農林リサーチ23年8月号より転載) 2023年4月、「レンゴー青果伊勢崎支社」が高崎市総合卸売市場に移転統合、新会社となった「ぐんま県央青果」(堀敦 社長)は、売上、利益ともに群馬県のトップ市場の地位を確立した。3月期決算は、長野本社との帳合…

旅の食日記〜松浦・釜石・函館

猛暑の中で、どういうわけか忙しく、ブログも疎かになった。 知人から、高齢なので健康を害したのではないかと心配された。だからという訳ではないが、各地で食べたものを紹介する。 食に関わる仕事をしている以上、金はなくとも若い頃から出張するとなるべ…

八戸中央青果が新商品「玄米スープ」開発‐産地支援で国内・国外販売目指す

八戸市中央卸売市場の卸「八戸中央青果(横町芳隆社長)はこのほど、県内農産物を主原料にした「玄米スープ」を開発、販売を開始した。 新商品「玄米スープ」は、ナガイモ、ニンジン、ゴボウの3種。いずれも全国屈指の生産高を誇る県産農産物で、これに同じ…

改正市場法による売場の変化‐施設は小さく機能は大きく・京都市場塩干棟

完成した京都市場塩干棟。右が売場、左は冷蔵庫 (「全水卸」2023(令和5)年7月号より転載・一部修正) 改正市場法による規制緩和によって、卸売市場施設もまた変わりつつある。令和5年に入り、姫路新中央市場が1月に移転開場したのをはじめ、富山市場青…

まちと共存する都市型卸売市場‐京都中央市場見学者コース紹介

京都中央市場水産棟の整備が完了した。令和3年の鮮魚部門に続き塩干部門が令和5年3月に完成、引き続き青果部の整備に入る。塩干部門は鮮魚部門に比べると規模は小さいが、売場に独特の工夫があり、塩干仲卸組合と京都市の協力で「売り場のあり方」と「組…

市場施設における卸売場・仲卸売場の変化‐「販売する場」と「物流動線」をセット

(「全青協」2023(令和5)年6月号より) 物流の重要性が高まるとともに、市場施設における卸売場、仲卸売場が大きく変化しつつある。 取引面での規制緩和によって、卸と仲卸の機能は重なる部分が増えている。とりわけ、物流部門は搬入から搬出までの施設内…

総務省アドバイザー支援制度の活用‐PFIの変化による再整備と開設のあり方

私は数年前から総務省管掌の公設市場経営マネジメントアドバイザーをやっている。改正市場法制定前は、依頼を受けた自治体に1回行くだけであったが、結局、1回だけでは済まず、何回もやりとりすることになった。 2年前に補助事業となり年間5回まで国の負…

余剰地の活用‐円満な三角関係が築けるか

各地で取り組まれている市場再整備で大きな問題となっているのが「余剰地」である。典型は富山市場である。市場用地全体を民間に定期借地権を設定、約三分の一を余剰地とした他、公設市場部分も民間が整備、建設し、その施設を行政が借りる方式である。 多く…

国立劇場のサクラ見納め

東京三宅坂の国立劇場三月歌舞伎に行った。 2023年9月、国立劇場は建て替えのため閉場される。歌舞伎、文楽、落語・漫才など伝統芸能は、多く国立劇場で鑑賞してきた。 コロナになって休演が続き、再開しても入りは極端に悪くなっていた。三階席はいつもガラ…

買参新規参入ルール・奨励金改革が焦点に‐新規参入実態調査と参入障壁対応

全国的に整備が進んでいる(3月15日に開業した姫路市中央卸売市場) (農林リサーチ23年4月号より) 各地の市場再整備が進んでいる。令和4年度は1月に入り、冨山、姫路、京都で相次ぎ新施設が完成・開業しているほか、金沢、奈良、大阪、東京など、各地…

豊洲に次ぐ閉鎖型市場完成‐3月13日開業姫路市中央卸売市場開業

完成した姫路市中央卸売市場(2月19日) 姫路市中央市場の移転開場記念セレモシーを取材した。開業後の様子も取材するが、とりあえず2月19日に行われた開場記念式典の模様を紹介する。 (農林リサーチ23年3月号より) 2月19日式典、3月13日開場 令和5年3…

開設と運営の分離すすむ〜公設民営市場時代の到来

新しい市場カテゴリー「民有公営市場」となる富山公設地方市場 (農林リサーチ23年2月号より) 改正市場法による大きな変化として、公設市場から民営市場への転換、廃止など、様々なケースを検証してきた。実践的にも中央市場と地方市場、公設市場と民設市…

写真で見る2月の旅

業界紙に勤めていた頃は、2月、3月は年度末で業界が忙しかった。 近頃は落ち着いていたが、どういうわけか、今年はやたら忙しい。この歳になって忙しいことは結構なことだと言われるが、身体に堪えるものである。 本業のはずのフリーライターもサボりがちで…

金沢中央市場の戦略

金沢市中央市場運営協会は、市場業界向けの情報提供を目的とする意見交換の場として「市場人 EXTRA」を定期的に発行している。以下は同23号(2023年1月15日発行)に掲載されたインタビュー記事である。協会の了解を得て掲載する。 Q. 2020(令和2)年の改…

コロナ禍で取引拡大‐豊明花き「電子取引イロドリ*ミドリ」

名鉄名古屋本線「豊明」駅前にある豊明花き地方市場 (全青協22年11月より転載) コロナ禍において卸売市場の取扱高は全体として健闘しているが、中でも花き市場のITを活用した活性化は際立った効果を上げている。花き業界は全体に業績は良いが、もちろん…

セントライ青果1千億円卸に‐名古屋北部から本場、浜松へとネットワーク拡大

名古屋市央卸売市場北部市場(名古屋北部市場)の卸「セントライ青果」は、2022年4月1日に売上123億円の浜松中央市場卸「浜中」の経営権を取得した。 浜中買収は中小企業再生支援機構からの要請により、累積損失が多い本体を市場部門と切り離し、市…

「地産地消・土産土法・身体不二」を思う

地元食材、地元企業中心のショッピングセンターが増えている(長崎漁港がんばランド) 明けましておめでとうございます。 年初の暇つぶしに魯山人に師事した平野雅章の『日本食文化考』をパラパラ見ていると「土産土法」(どさんどほう)という聞き慣れない…

函館と四万十の秋を訪ねて

10月から11月にかけて福岡、名古屋、函館、四万十に行った。そのお歳でよく動けますねと他人(ひと)からよく言われ「いつ見ても さてお若いと口々に 褒めそやさるる 年ぞくやしき」の川柳の境地を味わっている。 コロナが怖くないのかとも言われるが怖いに…

「いちご よこすかポートマーケット」に行った

船主丼(ふなおさどん)の名前にふさわしい美味しさである 2022年10月28日にオープンした「いちご よこすかポートマーケット」に行った。 松戸市公設地方卸売市場南部市場を運営する「いちごマルシェ(株)」をグループ企業とする「いちごホールディングス」…

卸売会社の生きる道‐八戸中央青果のチャレンジ

八戸中央市場前の道路を挟んで「八食センター」がある 横町芳隆 社長 (農林リサーチ22年10月号より転載) 改正卸売市場法時代に入り卸売市場・卸売業者はどのように変化しつつあるか。 八戸市中央卸売市場は青果部のみの中央卸売市場として半世紀近い歴…

買物客が参加する地域FM‐市場内にある奄美FM放送

住宅街の一画「末廣市場」の中にある「奄美FM」の様子 おそらく全国でもないだろう。2022年10月、鹿児島県奄美大島の珍しいFM放送局「奄美FM」に行った。 奄美大島の中心街、名瀬にある末廣市場の中の店を改装したFM放送局である。隣は海産物を売る…

「ウンギャル丼定食」を食べた‐奄美漁協を訪ねて

ウンギャル丼定食 生の海藻でないと天ぷらはダメらしい 旅行支援によってようやく観光地など人出が増えている。 このところ、各地を取材する機会に恵まれ、奄美大島や、函館、博多、松本に行った。 仕事なのだが、どういうわけか観光地が多い。 取材したこと…

公設地方市場の減少と再編‐公設と民設の接近、卸売市場カテゴリーの変化

(全水卸22年09月号より転載) 公設地方市場の民営化が相次いでいる。また、公設卸売市場を廃止するという今まで少なかったケースも目立つようになった。 中央市場と地方市場、公設市場と民設市場の垣根がなくなりつつある改正市場法時代において、公設…