卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

総務省アドバイザー支援制度の活用‐PFIの変化による再整備と開設のあり方

私は数年前から総務省管掌の公設市場経営マネジメントアドバイザーをやっている。
改正市場法制定前は、依頼を受けた自治体に1回行くだけであったが、結局、1回だけでは済まず、何回もやりとりすることになった。

2年前に補助事業となり年間5回まで国の負担で行くことができるようになったために具体的に関わるようになった。
最初はアドバイスがどれだけ役立つか自分でも疑問だったが、回数を重ねると、自治体の市場担当者は、市場のことだけ担当しているわけではなく異動もあるので困っているケースが多いことを知った。

困っている最大の課題が市場再整備である。

改正市場法下での市場再整備は規制緩和と民間活力導入が主力となっている。
全国の公共施設で指定管理による運営が導入され、続いて老朽化した公共施設の建て替えに際し、民間資金の導入を図るPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)が導入された。
しかし、PFI事業者の投資コスト回収に時間がかかりすぎることから官民連携(PPP)の考え方が導入され「PPP/PFI」方式が指定管理に代わる主力となった。

つまり、建設コストと運営コストの自治体負担軽減を図る方策として、指定管理とPFIを別々にせず、PFI事業者に建設と完成後の管理運営を委託することができるように改正され「PPP/PFI」となったのである。

PFI事業者は、今まで建設だけのPFIだけでよかったが、今、国が求めているPFI事業者は「PPP/PFI」である。建設後の管理運営の責任も持つことが求められるようになった。
そこで建設業と不動産管理業、それに完成後の経営ができる組織体が必要になった。その一つがSPC(特別目的会社)である。複数企業だが実質は幹事会社がイニシアティブを持つ。

この方式は例えば、図書館や公園などに有効である。今も多くは指定管理者が導入されているが、老朽化した図書館や公園の再整備を契機に指定管理からPFI事業者に変わりつつある。
PFI事業者は、大手本屋や大手造園企業と提携し、これに金融機関を入れたSPC(特別目的会社)を作り受託すればスムーズに建設から運営まで民間受託が可能になる。

しかし公設市場は、このPPP/PFI方式をそのまま導入することは難しい。
公設市場は自治体が経営しているわけではなく市場業者の経営集合体である。
取引の管理指導など厳しい規制が必要な時代から緩和された今、PPP/PFIの中の「P」(プライベート・民間)とPFI事業者の「P」、それに公共パブリックの「P」と、三つの「P」が連携する必要がある。

市場再整備に際して、プロポーザル方式でのコンサル企業の公募をすることが多いが、単に自治体とコンサルのやり取りだけでは解決しない場合が多く、行政、コンサル、市場業界の3者がパートナーシップの話し合いを行う4つの「P」が決定的に重要になっている。

今まで、市場を知っているつもりだったが、中に入ると法律も国の方針も変わり自治体も変わる。正解は一つではないことを改めて感じた。

経営・財務マネジメント強化事業 事業概要

出典:総務省「地方公共団体の経営・財務マネジメント強化事業