各地で取り組まれている市場再整備で大きな問題となっているのが「余剰地」である。
典型は富山市場である。市場用地全体を民間に定期借地権を設定、約三分の一を余剰地とした他、公設市場部分も民間が整備、建設し、その施設を行政が借りる方式である。
多くの地域で駅前の商業ビルに行政サービスコーナーが設けられているが、これと同じで、民間施設を行政が借りることで初期に投資する建設コストの軽減を図る。
もちろん、定借期間30-50年間を考えると行政の持出しが大きいが、初期投資の軽減という面で行政メリットがある。
大手量販店の誘致など更地で活用できるデベロッパーのメリットは言うまでもない。
行政と民間ディベロッパーはいわゆる「ウイン・ウイン」の関係であり、行政と民間が仲良くする官民連携「P P P」(パブリック・プライベート・パートナーシップ)そのものである。
官民連携の「ウイン・ウイン」の関係に市場業界はどう関わることができるのか。
「ウイン・ウイン・ウイン」(行政・ディベロッパー・市場業界)の三角関係である。
三角関係はこじれると言うのが世の常なのだが、富山市場ではとりあえず円満な三角関係を築くことができた。
30-50年の定借期間というと、ちょうど人の結婚生活と同じである。
とりあえずの合意は大事だが、何十年間の変わらぬ合意はもっと大事である。
決断に当たっては慎重に十分に考えたほうが良いと思う。
出典:大阪府中央卸売市場再整備基本計画(たたき台)9ページ