卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

八戸中央青果が新商品「玄米スープ」開発‐産地支援で国内・国外販売目指す

八戸市中央卸売市場の卸「八戸中央青果(横町芳隆社長)はこのほど、県内農産物を主原料にした「玄米スープ」を開発、販売を開始した。

新商品「玄米スープ」は、ナガイモ、ニンジン、ゴボウの3種。
いずれも全国屈指の生産高を誇る県産農産物で、これに同じく青森が主力のホタテを入れ、中国、台湾をメインにした輸出にも取り組んでいる。

大雨被害の産地支援がきっかけ

八戸中央市場は青森県南東、岩手県北を商圏とし、周辺は優良産地に囲まれた地域に位置している。
新商品開発のきっかけは昨年、令和4年8月に起きた線状降水帯により青森県下が大きな被害を受けたことである。
ナガイモ産地から相談を受けた八戸中央青果はJA青森とも協議し、水産会社(武輪水産)、食品会社(コムラ醸造)の協力を得て3社で共同生産することになった。

写真で見る通り、パッケージデザインは「青森の恵み」の統一ロゴとなっている。色合いもデザインも洗練されているが、それだけでなく大きさ、厚みが定型郵便になるので郵送費は180円である。

価格は一袋380円(180グラム)であり、市販用としては高めだが人気のホタテを入れることで濃厚な風味を持つ高級品に仕上がっている。
B to C商品として県内外に販売開拓していく上で大きな強みとなるだろう。実際、4月の発売以来、国内だけでなく中国、台湾関係からの引き合いも多く寄せられている。

玄米、ナガイモ、ゴボウ、ニンジン全て青森県産によって生産される新たな青森特産品であり、産地市場卸として新たな生産者支援と卸の経営資源開拓に大きな役割が期待される。

八戸中央青果の新たな展開

八戸中央青果は、令和4年に45周年を迎えたが、創業以来、産地市場として必要な機能・施設を次々に自力で整備、同時に各機能を分担するグループ7社を展開し卸売会社のビジネスモデルを開拓してきた。

今回の水産、食品企業とのコラボも、青果市場流通の新たな可能性を開く市場卸の方向性の一つとして注目されるだろう。