全国青果中央市場の取引は、野菜の64%が委託によって集荷されているが、販売は相対取引が91.6%であり、セリ・入札はわずか8.4%である。
委託集荷したが、産地の指値は1000円なのに、せりで800円しか出なかった。
「そういう場合もある」ならば、高くなる場合もあるが、相対は安定価格を望む。高くなったり安くなったりはせり・入札の場合である。9割以上が相対であるということは安定した赤字価格の可能性が高い。よほど供給が逼迫していない限り希望価格以上の価格で売れるケースは少ないだろう。商品の確保のための「受託品事故損」が経費でないとして課税されるならば、この集荷対策費は支出できないことになる。
今回の追徴課税に対し、多くの卸が集荷のための赤字支出はできなくなるとして対応を検討し始めている。
確かに夏場の葉物など損を覚悟で集荷する場合もあるが通常は、赤字を前提に仕入れることは民間企業としてあり得ないことである。受託集荷と、卸は8.5%の手数料業者であるという思い込みによって、こうした民間企業として当然の「千円で仕入れたら千円+コストで売る。」という考え方が曖昧になってきたのではないか。
受託品事故損と出荷奨励金分を引くと、手数料8.5%は6.5%くらいになるだろう。
今のままでいくなら手数料6.5%で経営が成り立つ営業戦略を立てなければならない。
すでに手数料は自由化されている。手数料ではなく「粗利」計算で何%の粗利なら人件費や物流などのコストを賄えるのか、コストが賄えないなら商品仕入れを抑えることは当然だろう。
追徴課税問題が浮上したために、こうした従来の8.5%手数料業者という前提が成り立たなくなった。
すでに中小の地方市場では地元の生産者の販売代理人という営業スタイルを確立している地方市場も増えているし、中央市場でも手数料だけでは食べていけないという経営戦略を立てた経営を行っている横浜丸中青果のホールディングス経営等も出ている。
今回の追徴課税によって、300億円〜500億円の中堅卸の経営が一層厳しくなると見られている。
手数料業者からの脱却による経営戦略が急務になっている。