卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2019-01-01から1年間の記事一覧

生き残りをかける地方卸売市場−改正市場法の下で何を目指すか

2020年6月に施行される改正卸売市場法によって地方卸売市場は最も大きな影響を受けるだろう。青果、水産物を中心とする生鮮食品流通は、千を超す卸売市場によって網羅されている。その卸売市場は64中央市場と1060地方市場に分かれており、市場数では全体の…

福岡は大雨だった

福岡に行った。大雨だった。飛行機に乗っていて、「福岡は大雨で東京に引き返す場合があるのでご了承ください」と、ご了承したくないアナウンスがあった。飛行機が落ちる心配はいつもする。紙飛行機でも落ちるのに、あんな大きな物体が飛ぶほうがおかしい。 …

「消費者開放」は上から目線?

岡山中央市場の関連売場。営業時間をすぎていたため店はしまっているが、市場では数少ない関連売場の成功事例である 卸売市場の消費者開放は、民営市場だけでなく多くの公設卸売市場で行われている。 「消費者開放」は「本来は売らないのだが特別に売る」と…

実行が難しい言葉

世の中には古くから伝わる格言で実行することが難しい言葉があります。例えば「目の中に入れても痛くない」です。 この言葉は、親が子供を可愛がる例えとしての表現でしょうが、目の中に子供を入れるという発想はどこからきたのでしょうか。目の中に指を突っ…

商社と卸売市場

汚い市場のイメージは一掃された。後はハードにふさわしい中身である(豊洲市場) 主 要 な 株 主(2019年6月) 東都水産 (株)山陽 12.1% ヨンキュウ 9.8% 松岡冷蔵 7.8% マルハニチロ 6.4% 築地魚市場 ベニレイ 11.6 % ヨンキュウ 9.8% 東洋…

バイキングは儲からない

地元の図書館隣にあるビジネスホテルは、千円昼食バイキングを止めてしまいました。高校生の集団が山盛りのお代わりを食べまくる現場を何度も見ていましたので、無理もないなと思いました。 バイキングの起源は帝国ホテルです。1958年(昭和33年)の新館オー…

卸と仲卸、買参人の垣根廃止−東京都 業務許可から施設契約に

改正市場法は、従来の取引規制条文をほとんど削除していますが、業務規程は各市場の判断で策定することができることになっています。中央市場の中には京都のように現行の業務規程を変更せず、そのままにしようという動きもありますが、各地の中央市場では、…

蝶々にタオルを取られたお話

コーヒーブレイク 鹿は奈良東大寺が有名ですが、屋久島でも観光客が通る傍で木の葉を平気で食べています。鹿は本来警戒心の強い動物のはずです。 北海道の鹿は格別です。冬の釧路湿原で、列車の窓から白鳥の舞いやエゾシカが一列になって雪原をジャンプしな…

尼崎市場の水産卸に「一光園」

大阪堺市の一光園本社(会社サイトより) 「一光園」いかにもお茶屋さんを想起させる社名だが、尼崎公設地方卸売市場の水産部卸と入場することが決定した。今秋にも営業を開始することで準備を進めている。 一光園は、もともと寿司屋向けのお茶を販売していて…

洗練されたオフィスの水産卸「千代田水産」

他意はないが女子トイレ 働き方改革の重要な一つに職場環境の改善がある。築地市場時代に卸各社が苦労した一つに、入社面接に来た学生が、環境が悪いと帰ってしまうケースが出たことがある。 そうした中で際立って洗練されたオフィスを実現したのが水産卸「…

2千万円で足りるのだろうか

体が空洞になった老杉は支えがないと生きていけません(屋久島) 2千万円問題が騒がれています。 私も年金生活者ですので、当事者の一人として無関心ではいられません。最初は、年金だけでは老後の生活資金が不足することは誰でも知っているはずだと思って…

成田新市場の不安、4回目の入札でようやく建設業者決定−1年半の遅れに懸念の声

新市場イメージ図、上部が空港だが直接は行けない(成田市資料) 輸出入中心の市場を目指す成田新市場が、ようやく開場の目処がついた。 当初はオリンピックまでに間に合わせるという計画であったが、本体棟の入札が3回続けて不調となり、6月の4回目の入…

国宝と一緒に昼寝したお話

お寺参りは趣味ではありませんが、四国88か所札所巡りも何か所かお参りしました。何の予備知識もなく、たまたま高松に居る知人から御朱印帳をもらい、近くにある88番目の寺に最初に行きました。 後で知ったのですが最後から逆に札所巡りをするのは、重大…

役所の会議は退屈だ

東京都は2019年7月4日、第23回取引業務運営協議会を開き、「卸売市場法改正を踏まえた条例改正について」報告されました。 昨年12月から4回にわたって、都職員を入れると業界幹部、外部委員含めて50人近くが論議した結果がこれかと驚くほどの内容で、内容…

善光寺ソバは美味しい

長野善光寺に行きました。そばを食べようと門前通りをブラブラ歩いていたら行き着いてしまい、お参りした帰りに食べました。 昔、門前通りで、そば粉100%を食べてボソボソ硬く、食通ではないと自覚して今度は普通のそばと野菜天を食べました。美味しかった…

改正市場法とお経

2019年6月6日に開かれた生鮮取引電子化推進協議会総会での武田卸売市場室長の講演を聞きました。ITに疎い私でも分かりやすく、大変面白く聞きました。 「食品流通の情報化、市場のIT化は進んでいない、遅れている。」いつ頃から言われてきたでしょう、誰も…

魔法の食材たまご

昔、『暮しの手帖』の投書に、小さな娘が卵かけご飯が好きで、ある日突然「卵かけご飯ちゃんと結婚する」と叫んで、父親が「パパと結婚する約束じゃないか」と嘆いたという話がありました。 子供の頃、縁側の下に鶏を飼っていて、それを時々食べていたのです…

大田市場配送荷捌場が完成

大田市場配送荷捌場が完成し、2019年5月8日にオープンセレモニーが行われました。 大田市場はよく知られているように全国青果市場では売上・取扱量ともに圧倒的なシェアを占め、近年そのシェアがますます上がっている拠点市場です。 大田市場にはすでに東…

「江戸前」を食べた

「江戸前」には東京湾、気質、鰻の意味がある。江戸前といえば、東京湾を意味することや、江戸っ子気質という言葉でよく知られている。しかし江戸前という言葉だけで鰻を意味するとは知らなかった。 先だって久しぶりに鰻を食べた。うなぎの価格でよくある「…

年商1500億円を視野に−R&Cホールディングス首都圏での存在感強まる(下)

(上)の続きです 2.R&C物流 長野県下の物流一本化 セントライ青果の統合の際、まず丸市青果と名果の物流部門の一本化が図られたように、R&Cのサプライチェーンを支える柱が2017年(平成29年)4月に設立されたR&C物流(本社:長野市)である。 レ…

年商1500億円を視野に−R&Cホールディングス首都圏での存在感強まる(上)

「R&Cホールディングス(以下R&C)」(堀雄一社長)の首都圏における存在感が強まりつつある。「R&Cホールディングス(以下R&C)」(堀雄一社長)の首都圏における存在感が強まりつつある。 R&Cは、長野県連合青果(堀)と長印(倉崎)の共同持株会社と…

「卸売市場」は「弱者・弱肉」なのか

卸売市場数は平成28年度末で1124市場ある。 そのうち、中央市場は64、地方市場は1060と圧倒的に地方市場が多い。地方市場のうち行政が解説する公設市場は151、準公設(第3セクたー)市場は21である。 この数字が、2020年6月に施行される…

生鮮漁港川越−卸売市場内に直売所

卸売会社が市場内に直売所を開く全国初の取り組みが生まれた。 埼玉県の第3セクター市場「川越総合地方卸売市場」内に4月11日、青果、鮮魚、精肉、生鮮三品の直売所「生鮮漁港川越」がオープンした。 この直売所は、川越市場の水産卸「川越水産」が建設し…

豊洲市場半年間の評価

全国第3セクター市場連絡協議会(全国3セク協)第32回総会を取材した。 全国で21市場、公設地方卸売市場は151市場あるから組織的には小さい全国組織だが、第3セクター市場は、行政の公共性を中心にしつつ民間の効率性を導入することで市場活性化を…

連休の過ごし方

連休中は昔から出かけない。 いつでもどこでも行ける「サンデー毎日」の身だから連休中に行く必要はないからである。 私だけかと思っていたら、7割が遠くへは出かけないという報道があった。調査が本当なのかという疑問はあるが、そうだろうと思う。 テレビ…

業務規程「その他ルール」の考え方

今年12月からの卸売市場の認定申請に向けて、各地市場の業務規程つくりが本格的になってきた。 農水省としては、従来の「業務規程例」サンプルはつくらない方針だが、開設自治体や業界団体からの相談には精力的に応じているので、連休明けから5月中には各…

春だ、京都に行こう

京都、大阪、明石に行った。明石でタコ、タイ、穴子の定番3品セットを食べた。うまかった。タイは固くてタコは柔らかかった。 そうだ京都、行こう。確か、そのようなJRの広告があった。私は京都より奈良が好きだ。 今年、京果を退職したK氏など親しくして頂…

豊洲市場にぎわい事業「EDOMAE 場下町 TOYOSU」

オリンピック後に建設される豊洲市場の観光拠点「千客万来施設」が稼働するまで、暫定的に青果棟のある5街区でにぎわい事業を行うと発表した。 現在開催されている「土曜マルシェ」の場所で、新たに三井不動産関連の「MIチーム」を賑わい創出事業者に選定し…

土壌汚染から地下水管理へ−豊洲市場の新たな都市インフラ機能

19年2月に行われた土壌汚染専門家会 汚染対策を一過性にしてはならない 土壌汚染対策費は2011年の東京都のデータで586億円、それから7年近く対策工事を続け、今も調査は行われている。800億円を超えているという報道もある。 移転前、あれほど騒…

新生成田市場 2020年度開場困難に、3回目の入札も不調

オリンピック年の2020年開場を目指し市場建設が進められている成田市公設地方卸売市場は、入札不調等で20年度開場が困難になった。 本体工事の入札が、昨年10月の第一回、11月の第二回、今年2月の第三回と、いずれも入札が不調になったため、成田市は…