2019年10月17日、仲卸組合の団体である全国水産物卸組合連合会(全水卸組連)の正副会長など10人の幹部による記者会見が豊洲市場の東卸組合会議室で開かれた。
総会ではなく、臨時に全国の幹部が揃って記者会見を開くことは珍しく、特別な発表でもあるのかと思ったが、各地で進められている業務規程の論議が最終的な段階を迎えている時に、改めて仲卸としての立場を表明する趣旨のようで、冒頭、早山会長が差別的取扱いの禁止や制度の運用について関係者の意見や実態に基づいて運用することを定めた参議院農林水産委員会の附帯決議をもとに卸と仲卸の機能分担等について説明し「全水組連としての決定はせず、情報の共有で各市場独自の対応を進めている」としたが、質疑では主に第三者販売についての対応等について質問が出された。
その中で強調されたのは、市場活性化のための法改正であり、卸と仲卸の機能分担が重要であること、卸や仲卸だけの視点ではなく、市民のための市場法改正であり市場活性化であること。
業務面での規制条文がほとんど廃止された国の方針と、各市場の業務規程の整合性をどう具体化するかについては、様々な案が出ている。
例えば①東京都の案のように業務を規定している条文はほぼ全てを削除し、開設者との施設契約にするという考え方、あるいは②現行条文でも卸、仲卸は特に業務に支障はないとする立場で現行条文をそのまま踏襲するケース、③第三者販売の禁止・商物一致原則は廃止するが、事前に開設者に届け出るようにすること、あるいは卸と仲卸で取引ルールについて話し合い決定すること、④現行条文を基本的に踏襲するが第三者販売等で例外的に認められているケースを拡大することで対応すること、⑤第三者販売、直荷、商物分離の条文は削除し、要領、規則等で対応していくことなどがある。
京都市が第一号で市議会に上程されたが、今後、国が定めた卸売市場法との整合性や、卸と仲卸の協調と競合をどう市場活性化に結びつける論議ができるか、記者会見した幹部はいずれも慎重な言い回しながら市場ごとの独自の対応を模索している状況を興味深く聞くことができた。