(上)からの続きです
現状と課題
- 社会環境の変化
- 農業担い手の高齢化 奈良県の農業従事者の平均年齢は68.8歳で60歳代と70歳代が主体。40歳代までの農業従事者はわずか7%
- 市場取扱高の減少 青果は平成10年361億円から平成30年には315億円に減少/水産は平成4年279億円から平成30年には134億円に減少
- 奈良県の観光客数 奈良県を訪ずれる観光客数はこの5年間で3429万人から4429万人に急増したが、宿泊者数は223万人から265万に増えてはいるが全国平均より低い
- 中央卸売市場の立地 周辺10キロメートルの東西南北に次のようなスポーツ・文化・健康・観光スポットがある
- 北=西の京、平城宮跡、奈良公園
- 西=法隆寺
- 東=なら歴史芸術文化村
- 南=まほろば健康パーク
再整備のコンセプト
(1)市場(BtoB)市場基礎機能の強化による卸売機能の効率化・高性能化とブランド力
- 市場の現状を踏まえた持続可能な施設整備 関西地区の食の流通拠点・ハブ機能
- 市場施設のコンパクト化・物流動線整理による効率化
- HACCPの考えを取り入れた閉鎖型施設・コールドチェーン化
- 奈良市場ブランドの創出
(2)賑わい創出(BtoC) 食と親和性が高く観光への相乗効果の高い機能との複合化
- 卸売市場のコンパクト化・物流動線整理による余剰地の活用
- 「食べる」「買う」「学ぶ」「遊ぶ」を一体的に提供できる施設づくり
- BtoBとの連携によるまちづくりへの貢献
(3)民間活力とノウハウを活かした施設整備
- 民間企業へのヒアリング、事業者提案等を活用
- 新たな機能導入や施設整備、管理運営の方法等についての検討
奈良中央市場は、西名阪自動車道、京奈和自動車道に近く、国道25号と県道筒井二階堂線に面し東には佐保川が流れている。この立地条件を生かした市場整備と観光機能の相乗効果を図ろうという本格的な試みは全国的にも初めての試みであり、目立つのは県の積極性である。
市場協会の西川恵二・会長(青果卸売協同組合理事長)も「知事の積極的な期待に答えることができるよう業界あげて市場活性化に取り組む」と述べており、行政と業界が歩調を合わせた卸売市場の経営戦略が身を結ぶか大きな注目を集めることになるだろう。