沖縄に居る。湿気が少ないので暑いわりに汗をかかない。
どこにもベンチがあって日陰で風を受けると、冷房の効いた喫茶店よりはるかに気持ちがいい。
昨日の夜、沖縄市場の方と夕食をご一緒し、沖縄料理を食べた。
酒は飲めないのだが、酒のつまみは好きで、いろいろな料理を満喫した。
沖縄には3回行った。
最初に行ったのは学生時代で、復帰直後の頃。1ヶ月ほどいた。
その時のことはほとんど覚えていないが、瀬長亀次郎・沖縄人民党委員長の演説を聞いた。
今で言えば山本太郎並みの人気で、聴衆はすごいだろうと思ったが、演説を始めたのに車の前に人はあまりいない。
あれあれ、聞く人がいないのに始めてしまったよ、と思っていると、そのうち、公園の木陰やビルの窓から指笛が鳴り出した。慣れてくるとかなりの人数と分かるのだが、バラバラである。
ベンチや木陰に座ってみんなで楽しみながら聞いている。
瀬長亀次郎の演説は何も覚えていないが、沖縄がいっぺんに好きになった。
独特の髪を結った高齢の女性の話が全くわからなかったのも記憶にある。一言も理解できなかったが、言語学者の本で、沖縄の言葉がどのように変化していったかを説明されていて、なるほどと思った。
私は長崎だが、鹿児島県人の年寄りの言葉も全くわからなかったし、東北の地元の方の話も聞き取りにくい。仙台の人が「私らも半分くらいしかわからないが、半分わかればいい」と言っていた。その通りだと思った。
食べ物も美味しい、ゴーヤは東京のスーパーでも売っているので時々食べるが、「本場モノ」を食べないわけにいかない。うまかったが、私のゴーヤチャンプルーもなかなかだと思った。ゴーヤを肉や卵と炒めると誰でも美味しくできる家庭料理なのだろう。
肉は豚肉が主だが脂っこくない。10種類くらいを食べたが、胃弱の私が翌朝なんともなく気持ちよく目覚めた。
今は地方の言葉が廃れて沖縄も全く同じである。ゴミゴミの迷路だった公設市場も建て替え中で、観光客は多いし、ホテルは建設ラッシュだし、残念だなと思うのはよそ者の勝手な感傷である。
老後に住むなら静岡か別府か沖縄がいいと思っていたが、老後も過ぎようとする今になって沖縄の風に浸ることができた。