集荷対策費の解決策はあるのだろうか。
実務的な解決は簡単である。受託から買い付けにすれば1000円で仕入れた青果物を800円で売ろうが700円で売ろうが違法ではない。あるいは特別出荷奨励金ということでも処理できないことはない。しかし売れば売るほど赤字ということになると経営を危うくするだけである。
産地も組織の運営費に予算化されている部分が多く、買い付けでは「受託品事故損」部分が計上できなくなる。全農も直販部門の強化を図っており、卸売市場に漫然と出荷して利益を確保しているという状況ではない。農家の再生産価格確保は農協、卸売市場共通の目標である。
今まで数十年にわたって「受託品事故損」方式が通用したのは、集荷した青果物を、仲卸や市場に来る買受人に市場内で販売できていたからである。卸が販売する川下への物流コストの負担が少なく、産地からどう出荷を増やしてもらうかが営業の主要な業務だったのである。
産地は受託取引を組織運営の財源として当てにして、卸売市場は多少赤字でも集荷さえできれば利益は残るという「なあなあ」の構造が、国税局の追徴課税という現実に直面することで、取引を見直さざるを得なくなった。
受託集荷で8.5%の手数料収入を得ることができればなんとかなる、販売価格が多少仕入れ値より下がってもせり取引だから仕方ない、という考え方がまったく通用しなくなる現実に直面することになった。
このサプライチェーンの変化に対応した取引を産地、卸売市場ともに構築することが不可欠の課題である。