卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

福岡大同青果ベジフルロジセンター−市場外で量販店のバックヤード機能−

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福岡大同青果(丸小野光正社長)は、市場内のバナナ加工センターに続き市場に接した土地約1万㎡を取得し配送センター「ベジフルロジセンター」を建設稼働させている。
市場外に土地を取得し独自に集荷・加工機能を持ち365日、24時間稼働を目指す福岡大同青果の取り組みは、改正市場法後の営業展開を睨んだ経営戦略として注目されている。

ベジフルロジセンターの管理運営は大同青果の100%子会社「(株)サイネスト」が行う。
卸とは別に独自の集荷を行い、加工、パッケージで量販店向けのサポート機能をもつ。
福岡大同青果の丸小野社長は「福岡市の協力で立地交付金として土地30%、建物10%が還付されるので踏み切った。
まだ稼働して一年立たず売り上げも6億円程度で採算は取れていないが、5年くらいを目処に軌道に乗せていきたい」と長期的な視野にたった投資で市場機能の強化を図る方針を明らかにしている。
人材不足もあり、量販店からの加工・パッケージの要請が多く、市場内での集荷、仲卸、買参人への販売とは別に独自のルートで規格外も集荷し販売する。

1階は約90店舗分のピッキング作業を行い、2階はカット野菜の原体を加工業者に納入する。
365日、24時間稼働を目指すが、まだ稼働率は50%程度にとどまっている。
卸売会社の営業とは別のバックヤード機能を持つことで、将来的には自社で産地のサポート機能を拡充させることで量販店への販売促進機能を強化していく。

福岡大同青果は、2016年に3市場を統合し15万㎡の大型市場の単一卸となった。その存在は福岡だけでなく九州の大型集散市場としてハブ機能を果たす位置にある。
加工・ベンダー機能を持つ組織をグループ内に展開することで産地、小売側の選択肢を増やすことになり、結果的には福岡大同青果の集荷力向上に貢献することは明らかである。
福岡大同青果が手数料業者としてだけでなく新たな営業展開を目指す方針は、拠点市場として当然の方向だろう。改正市場法後の卸売会社の目指す方向として期待していきたい。