卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

大嘗祭とフランシスコ教皇

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この一年間、市場流通と食品その他の記事を書いて来たが、締めくくりは世のなかの仕来りに従って2019年を振り返る。
食品流通以外で印象に残ったのは大嘗祭とフランシスコ教皇の来日である。

五穀豊穣への祈り

大嘗祭は新天皇が即位式で新穀を供え、五穀豊穣を神に祈る。神道に則った儀式である。
「五穀」とは米、麦、粟、黍、豆だが、食料としては不味い稗(ひえ)が入る場合もあり、要は穀物の総称である。
国家による宗教関与は禁止されているし、宗教と政治の絡みで大嘗祭批判も出ているが、五穀豊穣を祈る儀式は全国各地で今も行われており、「農の国」日本のほとんど全ての文化の源である。
祭りの多くが秋に行われるのは、「五穀豊穣」の願いと感謝の祭りだからであり、これを憲法違反という人はいないだろう。
日本文化の源泉としての位置にあるのが「大嘗祭」(新嘗祭)である。

奉納される五穀はそのままブランドとなる。あきたこまちが大嘗祭を契機に大きく人気ブランドとして普及したように、今回選ばれた栃木県「とちぎの星」、京都府「キヌヒカリ」にも同じ期待がかかる。コメだけでなく「五穀」の普及によって農業活性化にも大きく貢献することができるという実利もある。
問題は不必要に大規模な税金をかけて、日本文化の源を政治利用しようとする動きである。
秋篠宮が提起された皇室内部の行事・秘儀として継承していって欲しいと思う。

主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください

もう一つは、フランシスコ教皇の訪日である。

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が11月23日から26日まで訪日した。
82歳の教皇のエレルギーには驚嘆するが、それ以上に教皇が残した言葉は心に残った。
私は神様も仏様も海も山も自然全てに人智を超えた神秘を感じる、いわば多神教なのだが、キリスト教の協会にも行くことがある。心落ち着く場所である。

数の多さが正しさの証明にはならないが、世界13億人が信仰するキリスト教のトップであるフランシスコ教皇が日本に来て、原発の危険性を警鐘し平和を訴えたことは、平和を守る力として大きい。期せずして平成天皇が繰り返し平和の尊さを述べられてきたことと重なる。

年の終わりに際し、「主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください。」と祈ったフランシスコ教皇に長崎県人の一人として感謝しつつ、改めてフランシスコ教皇の言葉を噛みしめる。

以下はマスコミ報道から拾ったフランシスコ教皇の言葉である。

「人の心にあるもっとも深い望みの一つは、平和と安定への望みです。核兵器や大量破壊兵器を所有することは、この望みへの最良の答えではありません。」

「軍備の均衡が平和の条件であるという理解を、真の平和は相互の信頼の上にしか構築できないという原則に置き換える必要があります」。

「ここは、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である町です。」

「原発は数十年おきに事故を起こし、甚大な被害をもたらしています。核エネルギーは安全性が保障されておらず限界があります。安全が保障されない限り、核エネルギーは使うべきではありません」