卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2019-01-01から1年間の記事一覧

丸勘山形青果市場の果たす役割(下)−流通の効率化ビジネスモデル

左:佐藤明彦 代表取締役社長、右:井上周士 代表取締役専務 丸勘山形の特徴 粗利10%、経常利益3%がなぜ実現できたのか、丸勘山形の取り組みは、改正市場法下での流通の効率化を目指す典型的なビジネスモデルである。 なぜこうした数字が一民間市場卸で可…

丸勘山形青果市場の果たす役割(上)−「改正市場法と地方卸売市場」粗利10%、経常3%の衝撃

改正市場法下で大きな課題となるのが地方市場の方向である。 市場法が変わっても、現実の市場流通には大きな変化はないだろうという見方も多い。しかし変わる。とりわけ地方市場は変わる。 卸売市場の減少が、そのまま市場流通の衰退に結びつくわけではない…

花き市場拡充で生鮮流通拠点機能整備−石巻青果市場の取り組み

1.花き売場増設 民設民営市場「石巻青果花き地方卸売市場」が花き卸売場を拡充した。 開設会社である石巻青果が、市場昨年7月に新たに隣接する用地1万1千平方メートルを取得し、売り上げ増に伴い手狭となっていた花き売場を移転増設したのである。 これ…

東京ドームの広さを知っていますか

大きさを表現する基準として「東京ドーム○個分」がよく使われる。 いつ頃からだろうか。テレビでも新聞でも良く使われる。 昔、築地市場にあった「豊洲市場の案内展示場」で若い女性から「豊洲市場の面積は東京ドーム○個分」になると説明されたことがある。 …

栃木県南公設地方卸売市場、荒井商事~民営化初年度1600万円の黒字

平成29年10月に民営化された栃木県南地方卸売市場の一年が経過した。その民営開設会社である荒井商事(株)の初年度概要が明らかになった。 初年度となる第1期(平成29年10月1日~平成30年9月30日)の管理業務に係る収支状況は修繕積立予定額1000万円…

「東江」を何と読むか

アメリカの世界的歌姫が「七輪」とツイッターしたことで炎上している。 熊本地震への見舞いである「愛と祈り」の象徴として七つのリングを「七輪」とツイッターしたことを揶揄したものだ。 日本に関心を持ち日本語を学び、震災に対する自分の気持ちを日本語…

市場レポート「長岡中央青果市場」−公設市場の民営化第一号市場

長岡市場全景 半分の取得が終了した 朝採れ野菜の販売等で長岡野菜のブランド化に取り組んでいる 改正市場法下で大きな課題となるのが民営市場の方向である。 市場法が変わっても、現実の市場流通には大きな変化はないだろうという見方も多い。 しかし、一つ…

統計不正とトリクルダウン

統計不正問題で国会が揺れている。 アベノミクスの看板政策の根拠となる数字だけに政治的には重大な問題となるだろうが、個人的には戦後最長の経済成長とか賃上げ率の連続上昇など、どこの世界の話かと思っていただけに不思議ではない。 市場業界の集まりで…

民営大型市場の特徴

全国には中央市場に匹敵する規模の民生民営市場が多くある。 もともと市場流通は民営市場だけであったから、公設市場に入場せず民設民営市場のまま営業している市場が最も多いことは当然である。 今も卸売市場の8割が民営市場である。 大型市場となったケー…

ESG、SDGsとは何のことだ

先週、セミナー「普及するESG 食品産業の取るべき行動は!〜SDGsも活用する新たな経営戦略」を聞いた。 なぜ聞いたかというと、テーマが全く分からないからである。 ESG SDGsとは何だろう、サッパリ分からん。 「普及するESG」って、何が、どこで、どう普及…

民営化した公設・準公設市場

公設市場から民営市場への転換は、第8次卸売市場整備基本方針以降、急速に進んでいます。公設あるいは準公設(第三セクター)市場から民営化した主な市場は次の通りです。 長岡公設青果市場 青果 平成14年4月民営化 長岡中央青果、敷地面積2万3千平方米、半…

嫌いな言葉「茹でガエル」と「じょろうがい」

私は時々、研修会で講師を務める機会がありますが、そうしたときに気をつけていることは、自分が話すことは、あくまで主観的な意見であり、判断するための材料を提供するだけだという立場です。 そのために、なるべく具体的なケースを紹介するように心がけて…

民営化の方式-民営化の検証2

公設市場を民営化するケースとして次のような方式があります。 ①市場を廃止し民営化する場合 卸売市場を廃止、つまり廃場する場合の多くは、公設公営の場合は統合して大型市場となる場合で来年度3つの中央市場を1カ所に移転統合するケースがほとんどです。…

民営化をめぐる歴史的経緯-民営化の検証1

卸売市場はどこまで民営化が進むのでしょうか。どこまで民営化を進めるべきなのでしょうか。改正卸売市場法の大きな特徴の一つが、公設市場と民設市場の垣根がほとんどなくなったことです。 全国的な卸売市場整備は、大正12年の中央市場法から始まり、昭和46…

グローバル化の功罪

2019年もまた、政治、経済のグローバル化による激動の一年となりそうだ。 2018年12月の入国管理法の改正による外国人労働者の受け入れ拡大など、労働環境もまた国が進める働き方改革によって大きく変わるだろう。 卸売市場業界にとっても、今や外国人労働者…

年越しそば

明けましておめでとうございます。 昔は、昨日と今日と何が変わる、何がめでたいと斜に構えていました。近年は一年を無事に終え新しい一年を迎えることが出来たことを感謝するようになりました。これを円熟というのでしょうか老化というのでしょうか。 「去…