卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

民営化をめぐる歴史的経緯-民営化の検証1

卸売市場はどこまで民営化が進むのでしょうか。
どこまで民営化を進めるべきなのでしょうか。
改正卸売市場法の大きな特徴の一つが、公設市場と民設市場の垣根がほとんどなくなったことです。

全国的な卸売市場整備は、大正12年の中央市場法から始まり、昭和46年の卸売市場法以来、5年ごと約50年にわたって卸売市場整備基本計画によって再編に取り組んできましたが、改正卸売市場法によって「国による市場再編」が廃止され、認定による卸売市場とすることで行政による市場再編計画を終了させています。

今後、新しく公設卸売市場が開設されることは基本的にないでしょう。

昭和46年の第一次以来、5年ごとに策定されてきた整備計画の特徴は以下の通りです。
 1次〜5次 中央市場、公設市場の整備中心
 6次〜7次 市場間競争の激化、再編淘汰
 8次〜再編推進により中央市場数は平成28年度に昭和46年度と同数に
 9次〜中央拠点市場構想が導入 中央市場制度の解体と再編が始まる
 10次〜中央市場と地方市場の垣根をなくし地方市場再編を推進(平成28〜)
 
そして平成32年、年号が変わりますから2022年に新しい卸売市場法がスタートします。
現行卸売市場法の改正ではなく全く新しい卸売市場法であり、この新法は従来、基本的に規制されてきた次の垣根が、基本ルールを除き、考え方として原則規正廃止となります。
 イ 中央市場と地方市場という考え方の垣根
 ロ 公設と民営の垣根
 ハ 卸と仲卸の垣根
 二 青果、水産など業態の垣根
 ホ 市場内と市場外の垣根

こうした流れの中で「民営市場を公設市場として整備する方針」から「公設市場の開設権を民間に譲渡し民営化する方針」に転換する公設市場の民営化が進められるようになってきました。
その第一号市場となったのが平成14年の新潟県長岡市公設地方卸売市場です。
その長岡市場以降、次々に公設市場が民営化されています。