公設市場を民営化するケースとして次のような方式があります。
①市場を廃止し民営化する場合
卸売市場を廃止、つまり廃場する場合の多くは、公設公営の場合は統合して大型市場となる場合で来年度3つの中央市場を1カ所に移転統合するケースがほとんどです。
福岡新青果市場など多く見られます。
移転統合無しに廃場するケースは、民営市場の場合は他企業に売却するケースが可能ですが、公設・公営の卸売市場を廃止して民営化する場合は多くの困難があります。
今まで実現したケースは今年4月に廃場した横浜南部市場のみで、他には例がありません。
その横浜南部市場も、場内の全業者をもう1カ所ある横浜中央市場・本場に収容する計画でしたが市場業者の反対で実現せず、「卸売市場ではないが、本場の補完機能を果たす場」で、本場に引っ越すも南部市場でそのまま営業するも自由、あるいは両方で営業するも自由で移転経費は1社700万円を補助するという曖昧な決着となり、実質は廃場とは言えない状況になっています。
②市場存続のまま民営化する場合
市場存続のまま民営化する場合は、さらに以下の三つのケースに分類されます。
②-1.市場用地・施設を全て民間に売却
新潟長岡公設青果地方市場1市場のみとなっています。
公設市場から民営市場となった第一号市場で、平成14年4月民営化されています。
この場合は卸である長岡中央青果に、敷地面積2万3千平方米、半分強の建物と周辺施設を売却、残りの土地・建物は無償貸与という形で半分の売却が終わった後で取得するよう卸の権利取得を助成しています。
市場会計は黒字であったために行政が市場運営に関与する時代ではないという立場で民営化しましたので卸売会社も大きな負担はありません。
②-2.用地・施設は公有のまま民営化
民営化した市場は、このケースが最も多くなっています。
伊勢崎、足利、桐生、館林、藤沢などがあります。
このケースが多い要因は、施設が老朽化していて無償譲渡を受けてもメリットがないこと、土地を取得しても固定資産税の負担が重くなることなど市場業界の資力が不十分であること等です。
行政にとって大きなメリットがあるわけではないのですが、民営化が最も容易に実現する方法として採用されています。
②-3.市場規模を縮小し民営化
このケースは民営市場が施設整備をするための経費捻出の手段として始められたもので市場用地の一部を売却し、その代金で施設整備にあてる方式です。
この考え方が中央市場など公設市場にも広がりはじめています。
京都中央市場などでも計画に取り入れられています。