1.花き売場増設
民設民営市場「石巻青果花き地方卸売市場」が花き卸売場を拡充した。
開設会社である石巻青果が、市場昨年7月に新たに隣接する用地1万1千平方メートルを取得し、売り上げ増に伴い手狭となっていた花き売場を移転増設したのである。
これにより石巻青果花き地方卸売市場は、市場用地7万3千米方メートルとなった。
花き市場概要は次の通りである。
卸売会社 「(株)石巻花卉園芸」
施設全体の面積 1,620㎡
花卉園芸事務所 99㎡
花組合事務所 36㎡
荷捌き場 391.52㎡
花束保管庫 273.75㎡(温度管理)
生花・鉢保管庫 273.75㎡(温度管理)
下屋(大屋根)荷捌き場 532.50㎡
2.流通拠点機能拡充の取り組み
卸売と物流、機能分化の先駆的取組
石巻青果市場は平成22年1月に公設市場から移転し民設民営市場となった稀有なケースであ理、開場後も別掲の通り売上規模を拡大してきた。
特に市場施設を卸売棟と物流棟に分け、中央部に27メートルの屋根付き通路を設けウイング車で左右に下ろす施設整備は、その後の福岡新青果市場や豊洲市場などにも機能面での考え方の基本として取り入れられている。
市場機能としての物流機能をどのように施設整備に取り入れるかは改正市場法の下で最も重要な課題の一つである。
来年度施行される改正市場法によって、地方卸売市場は大幅な減少も懸念される。
そうした転換期に、石巻青果市場の取り組みは、地方卸売市場の今後の方向性を示す大きな示唆を与えることになるだろう。
それは第一に立地条件の優位性と物流機能を生かす取り組みである。
石巻市場は仙台の大消費地圏に近く、土地の取得も容易である。
高速道路にも近接している。
同じ機能を、例えば豊洲市場や大田市場で備えようとすると施設の立体化など膨大な財政投資が必要であり、限られた中央市場だけが整備できる課題となる。
必要性はあっても実現できる地方卸売市場は少ないだろう。
石巻青果市場は、機能性と経済性を両立できる絶好の条件を備えている。
生鮮に軸足置いた流通拠点目指し
もう一点は取り扱い業種の拡大である。
単に物流機能の拡充を目指すだけでなく「花き市場の拡充」という形で青果と花という同じ生産者の受け皿を備えたことである。
花き市場も今、大きな試練に直面しており花単品市場として機能強化を図ることは困難である。
大都市周辺地域に青果市場と機能の共存を図ることは、改正市場法下の大きなチャレンジの一つとなるだろう。
花と野菜の混載は、今のところ技術面などの課題で進んでいないが、将来的には必ず解決するだろう。
花だけではない。石巻は水産の優良漁港でもあり、港近くには大震災から復興した水産地方卸売市場もある。
量販店に向けた配送・加工機能の連携は充分に可能な課題だろう。
神奈川藤沢市場のような大手流通企業の誘致など、生鮮食料品の重要性が今後さらに高まることが予想される中で、生鮮に軸足を置いた流通拠点として期待される。
その第一歩となる石巻青果市場の取り組みである。
年度 |
野菜 |
前年比 |
果実 |
前年比 |
合 計 |
前年比 |
21 |
9,753,183 |
103.7 |
5,382,708 |
97.3 |
15,135,891 |
101.3 |
22 |
10,133,318 |
103.9 |
5,833,889 |
116.5 |
15,967,207 |
112.6 |
23 |
10,083,822 |
99.5 |
5,682,209 |
97.4 |
15,766,031 |
98.7 |
24 |
9,915,503 |
98.3 |
5,845,543 |
102.0 |
15,761,046 |
100.0 |
25 |
10,507,671 |
105.9 |
6,078,720 |
103.9 |
16,586,390 |
105.2 |
26 |
10,518,921 |
100.1 |
6,285,261 |
103.4 |
16,804,182 |
101.3 |
27 |
11,280,364 |
107.2 |
6,384,199 |
101.5 |
17,664,563 |
105.1 |
28 |
11,787,225 |
104.4 |
6,554,490 |
102.6 |
18,341,715 |
103.8 |
29 |
11,404,684 |
96.8 |
6,719,535 |
102.5 |
18,124,219 |
98.8 |