2022年1月20日に開場する成田新市場の主要な施設がほぼ完成した。
成田新市場は既存の成田市公設地方卸売市場の移転新設だが、実質は国の主導による輸出(入)に特化した卸売市場であり、旧市場とはさまざまな面で全く違っている。
「輸出特化市場」は従来の卸売市場法では想定されていないケースであり、何より市場用地9万3千平方メートルのうち、公設卸売市場部分は青果棟4850平方メートルと水産棟6750平方メートルと全体の15%に満たず、「卸売市場のなかに輸出機能がある」のではなく「輸出特化施設の一部に卸売市場もある」が正確な表現だろう。
とりわけメインとなる高機能物流棟に入場する業者は水産と青果の仲卸業者も複数入場するが、この部分の取引は卸売市場法の適用を受けない。つまり、卸売会社から買う必要がない。
「直荷」が認められるのではなく「仲卸」ではないので「直荷」そのものの概念がないのである。
成田新市場の取扱目標は5年後に水産140億円、青果50億円だが現状の取り扱い実績から見ても実際は無理である。
この目標は、あくまで卸売市場施設の規模算定の基準としての取り扱い目標であり、この目標数値に基づく施設使用料を負担する卸売会社にとっては大きなリスクを伴うことになる。
買参人の大幅な拡大が見込めない限り、卸売会社自体も従来の「卸売」以外の販売戦略を持たなければならなくなるだろう。
それでも成田新市場が成功するかどうかは卸売高ではなく中央部にある高機能物流棟の活用がバロメーターになる。「成功」する可能性はかなり高いのではないだろうか。
「成田市公設地方卸売市場」のなかにこうした機能が中心になることが許される根拠は言うまでもなく「改正卸売市場法効果」である。
改正卸売市場法が施行されて1年半、市場流通は改正前と変わらないとする見方もあるが、成田新市場をはじめ、改正卸売市場法が制定された2018年以来、市場再編や異業種の参入などさまざまな動きが一気に増えたのは、数の問題ではなく卸売市場法の改正によるステージの転換である。
量から質の転換が始まったのであり、この流れを見ないと市場流通の将来方向は見えてこないだろう。
成田新市場が改正卸売市場法の申し子であると言っても、それは今後の市場流通のモデル市場として誰もが目指すべき方向ではない。
「卸売市場」のカテゴリーを壊したのが改正卸売市場法であり、その中で自らの市場がどのようなスタンスで経営戦略を持つかが試されているだけである。
以下、主要な施設を写真で紹介しよう。