卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

新生成田市場 2020年度開場困難に、3回目の入札も不調

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オリンピック年の2020年開場を目指し市場建設が進められている成田市公設地方卸売市場は、入札不調等で20年度開場が困難になった。

本体工事の入札が、昨年10月の第一回、11月の第二回、今年2月の第三回と、いずれも入札が不調になったため、成田市は条件を変更した上で第四回目の入札を行う方針だが、見通しは不透明になっている。

成田市場は公設と民営部分をあわせて約6万㎡。

施設は開設以来40年を過ぎた施設が多く老朽化が進んでおり再整備の課題に直面していた。

平成25年10月に市長から諮問され運営審議会は成田市場を移転・再整備することで輸出入の物流拠点にすることを答申した。

平成26年には成田市が経済特区の指定受けたことで具体的な検討が始まり、移転先として成田空港の隣地にある「千葉県花植木センター」(成田市天神峰道場9.7㌶)跡地に決定。
平成29年度(2017年)に基本コンセプト(基本設計・実施設計)を策定、平成30年度(2018年)に土地造成工事を開始している。

三回にわたる市場本体工事の入札不調という事態に陥った背景には、二つの要因が挙げられる。

第一は総工費の高騰である。

当初計画では、総工費134億円(国庫補助13億円、成田市起債121億円)だったが、その後の建設資材の高騰などで、建設費は150億円以上になることは確実と見られている。
すでに国庫補助の増額等の交渉はなされているが、2020年完成を前提とした国庫補助だけに完成が遅れるとその調整も必要になってくるだろう。

第二は、市場棟だけでなく高機能物流棟の入場業者や民間開設部分の関連棟、集客施設棟の具体化など、施設、テナント業者選定の遅れである。

入場業者については、青果卸は神明が買収した「成田市場青果」、水産卸は大都魚類成田支社が確定しているが、輸出業務を担う高機能物流棟では輸出エリア一区画が未定である。

関連棟と集客施設棟は位置が離れていて機能もダブルことから、場所の変更も含めた再検討がなされている。

しかし、来日する観光客に対応する集客施設棟は、セキュリティーの関係等で空港から直接繋がっておらず、バス等の移動手段が必要などの不安材料がある。

事業主体となる民間企業が確定していない等々、単に2020年度開場の遅れにとどまらない様々なハードルが出てきている。