卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

業務規程「その他ルール」の考え方

今年12月からの卸売市場の認定申請に向けて、各地市場の業務規程つくりが本格的になってきた。

農水省としては、従来の「業務規程例」サンプルはつくらない方針だが、開設自治体や業界団体からの相談には精力的に応じているので、連休明けから5月中には各団体のケースも出てくるだろう。

業務規程とは開設者が市場を運営管理する基準である。

中央市場のように自治体による開設者があり、卸、仲卸、買参人制度の許認可制をとっている卸売市場と、卸イコール開設者である民営市場の場合では、大きく違うことは当然である。

しかし共通の課題として問題となるのが商物分離、第三者販売、直荷、自己買付を規定する「その他ルール」である。

業界の立場によって利害が対立するだけに各市場ともその調整が難航しているようだが、この「商物分離、第三者販売、直荷、自己買付」の条文をどうするか、いくつかの考え方がある。

1. 第一は条文そのものを削除することである。

卸売市場法は該当条文が削除されているのだから、国が削除した考え方を開設者が規制するべきではないとする考え方である。

国は、規制する規制しないは各開設者の判断に委ねるとしているが、実際には開設者の判断ではなく業界調整が必要であるだけに論議が難航することは当然である。

そうした面で、卸が開設者である市場は最も簡単である。

特に卸が一社で開設していて仲卸制度がない民営市場は、今まで業務規程など実際にはなかったと同じだろう。

それだけにどう作ればいいのか戸惑っている市場もあるが、該当条文を削除し、あとは共通ルールを入れるだけで解決する。

2. 二つ目の方法は該当条文をそのまま原則規制で残し、ずらずらと例外規定が並んでいる「但し書き」を変える。

例えば「第三者販売は規制する。但し市場内の取引秩序が乱れる恐れがないと開設者が判断した時はその限りではない」等の規定にすることである。

こうすれば、実際の判断はケースバイケースで。問題が起きた時点で協議することができる。

3. 第三は2と逆の考え方である。原則緩和として但し書きで規制する。

例えば「但し、第三者販売が市場内取引の安定を乱すと開設者が判断した場合は取引を規制するなど必要な指示・規制を行うことができる」等である。

調整が難しい場合は、2か3の考え方が調整しやすいだろうと思う。