卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2040年代の市場ビジョン−東京都市場経営指針

f:id:chorakuan:20210601132011j:plain

東京都はこのほど「東京都中央卸売市場経営指針」を策定した。

現在ある11中央市場の市場会計の改善を目指す長期的な経営指針である。
2040年代の市場のあり方を経営面から検討するという、改正市場法で廃止された「10年単位・5年見直し」の市場整備計画よりはるかに長期的な計画である。

従来の市場整備計画とはどのように違うのだろうか。
これまでは個々の市場の施設整備計画であったが、今回は都市場全体の経営指針である。

現在、東京都は11の中央市場(青果9、水産3、食肉1、花き5)を開設しており、人口は1351万人である。

これを関東各県と比較すると、人口は神奈川912万、千葉622万、埼玉726万、群馬・栃木197万で、中央市場は神奈川で2市場ある以外は無いか、あるいは1市場である。
各県の人口比で明らかに東京都の市場数は過多である。

今後、経営指針に基づき11の中央市場の再編が検討されるが、基本は11市場を①建値市場、②補完市場、③その他市場に分けて位置付け、再編の検討を行うことになるだろう。

神田・荏原・大森市場の大田移転、築地市場の豊洲移転だけでもそれぞれ10年単位で検討されている。
11市場、特に青果9市場、花き5市場の再編が中心となるが、指針から方針、そして実現まで、20年に及ぶ年月は現実的な期間となるだろう。

(資料)東京都中央卸売市場経営指針|東京都中央卸売市場