改正卸売市場法が施行されたことで、全国の公設市場で再整備の取り組みが増えています。ざっと挙げただけでも、
- 中央市場では、広島、姫路、金沢、浜松、川崎北部、奈良、和歌山があり、
- 公設地方市場では、飯塚、福山、尼崎、千葉、船橋、柏、木更津等の市場で取り組まれています。
これだけの市場が一斉に動き出すことは異例です。
再整備に共通する課題は、①開設自治体の財政負担の軽減を目指すPFI(民間資金導入)が可能かどうか、もう一つが②PFI方式に手を上げる民間企業があるかどうかです。
市場流通の活性化を目指す方策です。
第一のPFIは、全ての公共施設の整備にあたって優先的に導入を検討すべき課題とすることが国の方針ですが、市場流通において導入されたのは神戸本場のみです。
PFIが進まなかった原因はメリットが少ないということです。なぜメリットが少ないのかは省略しますが、ともかく行政は導入を図ったのですが民間企業が受けなかったのです。
ところが、先にあげた再整備に取り組み始めた市場は、ほとんどPFI導入を前提にした計画となっています。
この要因が改正市場法です。
内容的には、一つは基本計画から事業費の調達を含む工事手法、完成後の市場管理・運営までを一括して民間企業の提案を受け、SPC(特別目的会社)を受け皿にした受託としたことです。
もう一点が市場用地を縮小し、その「余剰地」を「民間企業誘致ゾーン」として市場法適用外とすることも可能となり、定期借地権等によって民間の企業活動を可能にしたことです。
なかには金沢中央市場のように中央市場としては比較的狭く、市内の公設花き市場を統合する方針を出したことで「余剰地」の活用は限定的になる市場もあります。しかし多くはピーク時を想定した市場規模であることから、4割〜5割の市場用地縮小を前提として物流を中心とする市場機能の強化と賑わいゾーンの創出が課題となっています。
国は、国交、経産、農水の三省による食品流通合理化検討会によって「物流と情報」を重要課題とするサプライチェーンマネジメント(SCM)の効率化を掲げ、コロナ対応も含めた手厚い財政支援策を打ち出しています。
活用できる支援策は、ぜひ活用することを検討すべきではないでしょうか。