卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

千葉市場再整備は三菱総研が受託

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東京商圏の市場機能を模索する千葉市場(千葉市地方卸売市場概要H30年度版より)

開設43年を経過し、再整備に直面している千葉市公設地方卸売市場(千葉市場)はこのほど、再整備に向けた経営戦略を含めた工事手法や基本計画などの策定を三菱総研に委託することを決めた。
委託料6000万円で期間は2021年11月30日まで。2021年5月には中間報告が出される予定。

改正市場法後の市場施設整備は、開設自治体からの発注ではなく民間企業からの企画提案を受けて開設自治体が委託する方式のサウンディング型市場調査が主流になっている。
千葉市場は「プロポーザル方式」(民間提案型)をとっているが、市場業者へのヒアリングや工事手法、スケジュール、さらに現状調査によって市場用地の縮小・余剰地が出る場合は、その余剰地の活用も含めた提案を行うなど、実質的にはサウンディン型調査事業となる。

千葉市場は施設の老朽化に加えて、市場取扱高の増加や加工・配送機能の拡充など市場機能の整備も必要になっている。
市場業者は市場用地約19万㎡で青果卸は千葉青果1社、水産卸は千葉魚類と千葉中央魚類の2社である。
千葉魚類と千葉中央魚類は、いずれも豊洲市場水産卸の東都水産と中央魚類のグループ企業で、この卸2社のあり方も大きな注目を集めることになるだろう。

開設時は花き部も計画されていたこともあって取扱高に比べ市場用地は広く、三菱総研の調査で、どの程度の用地が「適正規模」とされるか未定だが一定の「余剰地」が出る可能性は高い。
その時に、どのような活用方法が提案されるか、市場機能との関連で言えば従来から配送・加工機能の拡充が要請されていたこともあり物流機能が柱となるだろうが、もう一つが「美浜区」に位置し、稲毛海岸に面した美観地区にある市場関連棟をどのような賑わいゾーンとするかも課題となる。

また工事手法はPFI(パーソナル・ファイナンス・イニシアチブ)方式となるが、この場合も事業費等の負担や所有権移転などの工事手法をどうするか、完成後の管理運営は公設公営を維持するか、指定管理者制度とするか、あるいは民営化するのか等々、多くの課題が検討されていくことになるだろう。

千葉県も多くの卸売市場が再整備の課題に取り組んでおり、木更津公設地方市場がサウンディング型市場調査に取り組んでいるほか、船橋や柏、市川なども検討されている。

千葉県のみでなく神奈川や埼玉、北関東一帯の卸売市場は「東京商圏に隣接した卸売市場のあり方」が共通の課題だけに、どのような方向性を示すか大きな注目を集めるだろう。

(参照)
千葉市地方卸売市場概要(平成30年度版)
千葉市地方卸売市場経営戦略策定業務委託