卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

令和2年度食品流通合理化の取組み

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食品流通合理化検討会:資料

菅新政権が発足し、コロナへの対応と経済振興の両立が課題となる中で、食品流通もまた卸売市場法の改正に続き、漁業法、水協法の改正によって生鮮食料品の流通は大きく変わろうとしている。

なかでも改正市場法に基づく卸売市場の課題となるのが「食品流通合理化検討会」である。
この「食品流通合理化検討会」は農林水産省、経済産業省、国土交通省の三省によるものであり、その中で、4月の第1次中間取りまとめに基づく令和2年度の具体的な取り組みが明らかになった。

令和元年10月から5回にわたって開かれた検討会は4月に発表した中間取りまとめの中で、令和元年度補正予算、令和2年度当初予算等を活用して、以下の8項目について具体的な取組を実施することを決定している。

①パレット化による手荷役削減、②集出荷拠点の集約等による効率化、③モーダルシフトによる輸送手段の分散、④小口ニーズへの対応、⑤ICTの活用、⑥品質・付加価値・価格バランスの見直し、⑦荷待ち時間削減及び付帯作業の適正化、⑧食品ロスの削減。

これらの重点課題は、食品流通に対する課題の中心はドライバー不足に対応する物流問題であり、その物流機能改善のためのツールとしてICTの活用やトレースアビリティ等の活用が具体的に取り組む課題として挙げられている。

そして報告された具体的な各地の取り組みは以下のとおりである。 

パレット化

  • 1.ホクレンによる北海道の一貫パレチゼーション構築
  • オホーツク地区 20市場と連携、出荷、パレット2万2千枚
  • 上河地区 20市場と連携、出荷 パレット4万枚導入
  • 出荷先4市場
  • 2.全農物流によるレンタルパレットの導入によるパレット管理の効率化
  • 積卸し作業の機械化
  • 新潟市、出荷先2市場と連携、パレット70枚導入
  • 3.統一規格パレット導入・管理体制構築〜熊本2地区、長崎、岩手
  • 4.花き台車導入〜2地区(長崎・熊本・鹿児島と愛知・岐阜)

集出荷拠点・モーダルシフト

  • 九州において官民一体で大規模モーダルミックス推進(陸運、JR貨物、フェリー)

ICTの活用、荷待ち時間削減等

  • 1.岐阜 セイノー情報サービス
  • 物流データプラットフォーム構築
  • 業種業態を超えた混載による共同幹線輸送
  • 将来的にAIを活用した出荷予測
  • 2.東京 フラワーオークションジャパン
  • 産地(千葉、岐阜)からRFID導入
  • 無人搬送機との連携による花き卸売市場の自動化
  • 3.ブロックチェーンを活用した商品管理・決済データプラットフォーム構築
  • 4地区(青果:東京、神奈川、長野、水産:東京)

小口ニーズへの対応、食品ロス削減等

  • 1.新潟 ヤマト運輸
  • 直売所を考慮した宅配ネットワーク構築
  • 生産者の直売所コチ込みを不要に
  • 2.山形 アップクオリティ
  • 専用ボックスに適合したバラの長さ調整
  • 高速バスを活用した貨客混載
  • 3.その他
  • 1地区(横浜・岩手・島根)、鮮度保持付き冷凍コンテナを導入し水産物をタイ輸出