卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

食糧安保の重要性高まる

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新型ウイルスは収束の気配がない。

今回の新型ウイルスは、経済構造としてのサプライチェーンを他国に、しかも一カ国に依存している危うさ、リスクの高さを象徴的に示すものとなった。

安倍首相は新型コロナ対策の一つとして「中国などから日本への製品供給の減少によるサプライチェーンへの影響が懸念される中で、1国への依存度が高い製品で付加価値が高いものはわが国への生産拠点の回帰を図る」と生産拠点の国内回帰の方針を述べた。(3月8日NHKニュース)

「付加価値が高いもの」とはどういうものか、当面は工業製品などになるのだろうが、例えばいま大きな問題になっているマスクも中国での生産・輸入が8割を占めているという、そうした通常は効率性を優先できるものも新型ウイルスのような非常時は国民生活に大きな影響を与える。

農産物、水産物も同じであり、原料、物流、販売面で中国を含む外国に依存している割合が大きい多い。
その割合が中国だけに集中している場合は他国にも分散することが考えられるのだろうが、それは真のリスクヘッジにはならないだろう。

今は政策的に重視されていない自給率も、食糧安全保障の面から見直されることになるだろう。新型ウイルスだけでなく、世界的にはすでに戦時下に入っている国も多く、日本を含むアジア諸国も巻き込まれる可能性は十分にある。
国民の生命と安全を守る国の責務は軍事だけではない。食糧安保は否応無く重要性を増すだろう。