卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

商社と卸売市場

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汚い市場のイメージは一掃された。後はハードにふさわしい中身である(豊洲市場)

 

主 要 な 株 主(2019年6月)

東都水産

(株)山陽   12.1%

ヨンキュウ   9.8%

松岡冷蔵  7.8%

マルハニチロ  6.4%

築地魚市場

ベニレイ    11.6 %

ヨンキュウ   9.8%

東洋水産  5.4%

(株)海昇   4.9%

大都魚類 

マルハニチロ  32.5%

大洋A&F     3.9%

神港魚類   3.1%

マルハニチロ物流2.8%

横浜丸魚

マルハニチロ  8.7%

合同会M&S  7.1%

極洋     5.6%

横浜finance  4.5%

OUG

マルハニチロ 13.3%

日生保険  4.7%

農林中金 4.7%

りそな   3.3%

中央魚類

日本水産     11.1%

自社株       7.4%

(株)足利本店6.8%

三菱UFJ       4. 6%

中部水産

日本水産     12.4%

自社株       8.5%

極洋        6.2%

マルハニチロ 4.1%

 

改正市場法の影響は様々に表れています。

市場再編もその一つで、取引の規制緩和に伴って商社や食品、流通大手のインフラとしての卸売市場再評価がされつつあります。

市場流通において、長く「マルハ、ニッスイ」時代が続きました。しかしマルハ、ニッスイともに漁労部門の撤退で卸売市場に対する比重は低くなって来ましたが、ここにきて、改正市場法後を睨んだ卸売市場活用に目を向けています。

上の表は水産市場関係の上場企業ですが、目立つのはマルハニチロ(マルハ) です。
完全な子会社は大都魚類だけですが、最近話題となっているのが東都水産の第4位の株主になったことです。

東都水産は、いわゆる独立系ですが、オーナー的位置付けだった関本家が持ち株を手放したことで、1位、2位ともに水産流通、養殖の大手が占めています。
この東都水産にマルハが、子会社である大都魚類ではなく東都水産に出資したことで、山陽、ヨンキュウ両社との連携が強まるのではないかとの観測が広がっています。東市築地魚市場もヨンキュウが第2位で同じヨンキュウグループの海昇が第4位にあり、合計で14.7%とベニレイを上回ります。

また中央魚類とともに、いわゆるニッスイ系の中部水産でもマルハが第4位の株主となっており、中央魚類、ホウスイ、水産流通等のニッスイ系の再編と合わせて全国の市場再編がさらに進むだろうと見られています。

また、もう一つ注目されているのが商社からの卸売市場に対するアプローチです。
昨年、米穀卸の最大手「神明」が市場流通に参入、岡山、東果大阪、成田青果を相次いで傘下に収めて注目されましたが、今年は中堅商社「稲畑産業」のグループ企業「一光園」が船橋市場の仲卸から尼崎市場の水産卸として参入します。

他にも外資系のファンド会社「M&S」が横浜丸魚の第2位の株主で株主総会において積極的なもの言う株主となっています。また同じく外資系ファンド会社の「イチゴ」は千葉県の松戸南部市場の開設会社を経営しています。
こうした商社の市場参入も今後の注目です。

以下は、現在、市場に参入している商社です。

  • 三菱商事(マルイチ産商)
  • ファーマインド(東京シティ青果)
  • ベニレイ(築地魚市場)
  • 神明(岡山大同青果・東果大阪・成田青果)
  • 稲畑産業グループ・一光園(船橋、尼崎)
  • イチゴ(松戸南部)
  • 国分(藤沢青果市場に施設、横浜、大田、豊洲の水産・青果卸と業務提携)