卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

魔法の食材たまご

昔、『暮しの手帖』の投書に、小さな娘が卵かけご飯が好きで、ある日突然「卵かけご飯ちゃんと結婚する」と叫んで、父親が「パパと結婚する約束じゃないか」と嘆いたという話がありました。

子供の頃、縁側の下に鶏を飼っていて、それを時々食べていたのですが、首を切られた鶏が走って逃げたのを見てしまい、その後、鳥肉は長く食べることができませんでした。

それでも卵かけご飯は好物でした。
高価でしたので、卵1個でなるべくご飯を多く食べるために、いつも醤油をジャブジャブかけていました。

卵かけご飯は日本独自の食文化です。
昭和30年以降の高度成長期に急成長し、配合飼料や育種技術の発達で安価な大量生産が可能になりました。
完全栄養食品で物価の優等生です。

日本でも紀元前から家禽化されていたようですが、いわゆる卵料理として料理書に登場するのは洋の東西とも中世以降と比較的遅いということです。どういうことでしょうか。

江戸時代に卵料理を100種以上載せた「万宝料理秘密箱」(通称たまご百珍)という料理専門の書があり、その中に黄身と白身をひっくり返す「黄身返し」の料理方法があるそうです。
宇江佐真理の時代小説「卵のふわふわ」で紹介されていますが実際にはまだらになってしまうようです。

卵はカステラ、アイスクリーム、茶碗蒸し、マヨネーズ等に使われる魔法の食材ともいうべき食品です。
キューピーの工場見学をしましたが、人がほとんどいない衛生管理の徹底ぶりに驚きました。

鶏肉の製造工場はビデオで見ましたが、トラックから吊るされて運ばれて行く過程では鶏も大人しくなっていて、後は見ることができませんでした。勝手なものです。