卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

改正市場法とお経

2019年6月6日に開かれた生鮮取引電子化推進協議会総会での武田卸売市場室長の講演を聞きました。
ITに疎い私でも分かりやすく、大変面白く聞きました。

「食品流通の情報化、市場のIT化は進んでいない、遅れている。」
いつ頃から言われてきたでしょう、誰もがそう言います。
同時に誰もがその重要性については納得しています。

そのIT化について武田室長は「市場のレガシー(遺産)にせず実効性のあるようにしたい。」と述べました。
その通りではないでしょうか。

国の方針は「お経・髪結い」と言われてきました。「言うだけ、結うだけ」
お経は内面を豊かにし、髪のセットは女性を美しくします。
どちらも重要ですが、飯のタネにはなりません。

これまでのネットワーク化は、個々の企業の取り組みに委ねてきました。重要性を言うだけでした。
今は違います。やらないと金は出ません。

情報化を永遠の課題にしてはいけません。
改正市場法は、開設区域や商物分離などネットワークの構築にマイナスになる条文を削除しています。具体的な取り組みを求める法律です。「言うだけ」ではありません。

公正な取引はこのネットワークの推進を基準にして考えることになりますし、見える化など卸と仲卸の協調によって十分クリアできるし、クリアしなければならないのではないでしょうか。