卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

コロナ禍で変わる生活

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5月に引き続き6月の魚、野菜の消費伸びる

2020年6月の家計調査が発表され、5月に続いて魚介類、野菜の消費が伸びた。

総務省統計局が8月7日に発表した6月の家計調査によると、食料費は77,246円でマイナス1.8%となったが、魚介類は9.9%増(生鮮13.1%、塩干7.6 %、練製品2.3%)と、いずれも前月に続き大きく伸びている。

外食は33%減と依然として大幅に減っているが酒類は二桁増で、外食を自粛し家庭で飲むことが多くなった反映だろう。

外食大手7割が最終赤字

外食大手13社の4~6月は9社が最終赤字になったと日経新聞が報じている。郊外店は回復の兆し、都市部は苦戦続いていることから「ビジネスモデルの極めて大きな変革が迫られている」としている。概要は次の通り。

「すかいらーくHDS」の20年4~6月期の連結最終損益は191億円の赤字(前年同期は26億円の黒字)。「ガスト」や「ジョナサン」といったファミレスは客数が大きく減少した。強化した宅配や持ち帰りは増えたが、売上高は前年同期比44%減に落ち込んだ。増益は日本マクドナルドHDSのみ。」

「ファミレスと並んで厳しい状況なのが居酒屋。コロワイドは、最終損益が41億円の赤字(前年同期は3億7500万円の黒字)減益だが赤字は免れた3社に共通するのが、持ち帰りだ。
王将フードサービスは4月の持ち帰りが売り上げの4割を占めた。増益だった日本マクドナルドはドライブスルーが伸びた。
ゼンショーHDSが運営する牛丼店「すき家」の7月の既存店もプラスとなった。逆に郊外店舗が手薄な企業は苦戦が目立つ。
同じ牛丼店でも、郊外が3割強にとどまる松屋フーズHDSの7月の既存店は11.6%減となった。

「Go To イートキャンペーン」に56事業者応募

「Go To Travel キャンペーン」に続く「Go To イートキャンペーン」に、36都道府県の56事業者が応募した。
ネットで店を予約・利用した際のポイント還元でも、18事業者から応募があった。応募はすでに締め切られており、全国で56業者ということは限られた大手と思われるが、具体的な事業者名は公表されていない。

ネット宅配、ASAと提携しデリバリー

食品産業新聞がネット宅配「出前館」の加盟店数・注文数が大幅増、共に25%増となったと報じている。
通販は全体として大きく伸びているが、夢の街創造委員会(中村利江社長)が運営するネット宅配注文ポータルサイト「出前館」は同事業の飛躍的な成長の契機は、新聞配達員を活用した配達パートナーによるシェアリングデリバリーサービスの導入。

2016年12月に朝日新聞社との提携で本格スタートした同サービスは、78拠点まで拡大。人手不足から配達機能を持てない飲食店の収益拡大につながる画期的サービスとして注目を集め、加盟する店舗も右肩上がりで拡大中だ。

これまで「チラシ」で情報を発信し、「電話」でオーダーを受け取るという2つのアクションで成立していた“出前”。インターネット上で情報発信とオーダー受注の両方を行う仕組みを確立した。

2018年11月末現在で、年間1回以上注文するアクティブ会員数は274万人、加盟店舗数は1万7834店を超える。ASAでは早朝と夕方を除いたバイクが稼働していない時間を活用し、出前館オリジナルボックスをバイクに取り付け、料理を配達している。
既に持っている配達インフラを活用し、多額の設備投資をしなくても新事業を展開できるとして、新たなシェアデリ拠点に名乗り出るASAは増加中だ。

東北新幹線客席スペースで鮮魚輸送

みなと新聞は2020年8月12日付けでJR東日本が東北新幹線の自由席空きスペースを利用して宮城産鮮魚を東京に輸送する実証試験を行うと報じた。概要は以下の通り。

「JR東日本はすでに上越新幹線で鮮魚輸送を行っているが、客席を利用するのは初めて。
当日朝に水揚げされた魚を午後には東京駅飲食店で食べることができるようになる。
実証試験は8月26〜28日の三日間。宮城県石巻市のフィッシャーマン・ジャパン・マーケティングと海遊の二社が行う。1日あたり120キロサイズの発泡容器20〜30箱を輸送する。」

車、一軒家の購入希望増加

コロナで自粛生活が広まり、テレワークやオンライン会議が普及しているが、この働き方改革に対応して車の需要が増えているという。
非正規雇用の増大等で、車そのものが生活の興味対象外になりつつある中でコロナによって、電車よりも車でコロナを防ぐ自己防衛意識の高まりの反映だろうか。

お盆の帰省等も新幹線ではなく車の利用が増え、企業も通勤対応に満員電車を利用しないでいいように通勤車両を貸し出す動きも出ている。

また、三井ホームがまとめた調査によると、共働き家庭の戸建て住宅購入の関心が高くなっているという。夫婦2人がともに在宅勤務という想定されていなかった事態に対応する動きと思われる。