卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

豊洲市場半年間の評価

全国第3セクター市場連絡協議会(全国3セク協)第32回総会を取材した。

全国で21市場、公設地方卸売市場は151市場あるから組織的には小さい全国組織だが、第3セクター市場は、行政の公共性を中心にしつつ民間の効率性を導入することで市場活性化を図る開設組織である。

豊洲市場取扱高・前年比(単位トン、100万円、%)

水産

青果

年月

数量 トン

前年比

金額百万円

前年比

数量 トン

前年比

金額百万円

前年比

1810月

30366

97.6

33723

96.0

21229

94.5

7322

114.4

1811月

30634

93.9

36259

95.7

22010

105.0

6468

90.0

1812月

34828

89.9

49713

96.0

25190

107.1

8408

86.6

1901月

25074

95.6

29344

100.3

20379

112.7

6752

90.8

1902月

26190

92.8

29297

97.7

19560

111.3

6662

92.3

1903月

30208

90.2

33723

92.1

20298

99.5

6975

92.9

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民営化の動きが主となりつつある近年の卸売市場流通では採用されなくなっている。
しかし、開設者としては難しい課題があるだけに全国協議会を結成以来、様々な先進的な取り組みをおこなってきた。

全国公設地方卸売市場協議会(公設協)との交流も深めている。

総会には農水省からも武田卸売市場室長など3名が出席するなど業務規程や申請書など開設者の課題に直面しているだけに総会でも業務規程策定への取り組みが中心に論議されるとともに、会費の均等割値下げや表彰基準を広くするなどの議題を決定した。

翌朝は豊洲市場を視察、開場以来視察に訪れる関係者の対応に追われているのに、東京都や卸売協会の浦和専務、それに東都水産の赤星専務まで案内していただいた。私が恐縮することではないが恐縮した。

午前5時半からのマグロの競りを見るのは昨年10月の開場の時以来だったので楽しかった。楽しかったがくたびれた。

3月までの半年間の取扱高が別表の通り厳しい数字となった。

取扱高の不振は、自然現象だけでなく、

① 卸各社とも開場から入荷配送が混乱すると予想していて、相対品はグループ内の場外や足立、船橋、大田を通して配送したこと、

② 混乱するというニュースもあったので買い出し人が他市場にシフトしたこと、

③ 特に仲卸の買い出し人が減っていること、等があげられる。

青果は1月〜3月が全国的に単価安であったし、水産も不漁続きという状況だったが、それにしても築地から豊洲に移転し、用地は1.8倍、施設面積はもっと広くなり、温度管理や物流経費、場内ラン等の経費は築地と比較にならず、経費は少なくとも3倍以上になるだけに、この取扱高はピンチだと思う。

最悪でも取扱量は増えたがコスト増に追いつかず赤字になったというパターンだと思っていたが、築地時代よりも数量が減っているという事態は深刻だろうと思う。

豊洲市場は改正市場法施行まで待つ余裕はないのではないだろうか。

この一年で豊洲市場は大きく変わらざるを得なくなるだろう。

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