卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

成田新市場移転に補助金-使用料の激変緩和も導入

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土地造成進む成田新市場用地(成田市天神峰道場)

成田新市場に入場する現・成田市公設地方市場の卸、仲卸に対し2018年9月11日に説明会が開かれ、新市場の使用料、移転支援策を明らかにした。

成田新市場は2020年の開場を目指し、成田空港近くの元・千葉県花植木センター跡地、92,700㎡に当初事業費134億円で計画、現在土地の整備中である。

事業費は国の助成金約20億円を含む約150億円で取り組まれているが、一つは建材費の高騰などで2割程度の増加が見込まれること、もう一つが公設部分の高機能物流棟の事業者や卸、仲卸業者の入場最終確認や、民間部分の集客施設棟約5,500㎡と関連棟約3,000㎡部分の具体化が遅れていることから、当初予定のオリンピックに向けた開場は難しく、早くとも2020年度中となる可能性が高くなった。

成田市は業者のスムーズな移転を図るため現在の公設地方市場で営業する卸と仲卸を対象に次のような移転支援策を明らかにした。

1.移転支援策

①.設備投資補助 
 卸は1,000万円を上限に補助率2分の1、仲卸は500万円を上限に補助率2分の1

②.引越費用補助
 卸、仲卸共通。物品リストを精査し、必要最小限の設備等に限り補助率2分の1。上限はない

③.車両電動化補助
 卸、仲卸共通。フォーク、ターレの買い換えが対象で補助対象費上限はフォーク240万円、ターレ90万円。補助率は3分の1(上限フォーク80万、ターレ30万)

④.原状回復支援 事業者負担無し

⑤.その他 融資制度など

2.施設使用料の激変緩和

施設使用料に対し、4年間の激変緩和を導入する。5年目以降の使用料は次の通り。

①.卸売業者売場
 月額1㎡あたり青果は240円、水産は260円。売場+事務所の使用料は、青果477,450円、水産829,735円

②.仲卸業者売場
 青果、1,680円、水産1,820円。月額1コマ青果(100㎡)195,120円、事務所31,490円。水産1コマ(42㎡)89,400円

③.駐車場 1台当たり月額2,000円

なお、新成田市場は成田市が管理運営する公設公営市場として開設されるが、開設後は数年後を目途に指定管理者の導入を考えているようだ。
また現在の公設地方卸売市場は、民営の成田総合流通センターと一体的に卸売市場機能を果たしている。
新成田市場開設後は現在の公設市場は廃場とする方針だが、その後の市場用地の活用等については今後の検討課題となっている。