卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

老いの温泉談議

他人に自慢出来る私の数少ないひとつが温泉通いです。
数えていませんが100カ所以上は行っているでしょう。

何をするわけでもなく、ただ、単純に温泉を楽しむだけで、酒も料理も宿も関心はありません。
風呂好きは昔からで、早くて1時間、長ければ2時間、自宅の風呂場で過ごし、心配した妻が見に来て「あっ、のぞき」と軽口を叩いて深刻なトラブルとなりました。

本や音楽を持ち込み、温泉なら3時間から半日はいました。
今は入る時間も短く、温度も生き様も温くなりました。

若い頃はタオルと石鹸を持ち歩き、街中で銭湯を見ると喫茶店がわりに入りました。富士山や鯉の滝登りなど、ペンキ絵、タイル絵もたくさん見ました。

岡山の人気作家「あさのあつこ」は、野球少年がマウンドで気を落ち着かせるため「ドウゴアリマノボリベツクサツベップイズアタミユモトハコネナスザオウ」と、おまじないを言わせています。
もちろん「道後有馬登別草津別府伊豆熱海湯本箱根那須蔵王」ですが、私は異論があります。

あさの氏には幼少期を温泉旅館で過ごした体験をもとにした「ほたる館物語」という児童小説があり、今でも私の愛読書の一つです。

あさの氏の地元贔屓かもしれませんが、道後と有馬を最初に持ってきたのが納得いきません。温泉の宝庫、東北が入っていないのも残念です。

やはり、温泉と言えば別府と草津が東西の双璧です。とりわけ別府の鉄輪温泉は最高で、本気で移住したいと思いました。

鉄輪(「かんなわ」と読みます)は、今でも「貸間旅館」が主流で近所のスーパーで野菜、魚、米を買って自炊します。

温泉の蒸気で蒸したお米はもち米の食感です。
放っておいても焦げません。野菜も味付けは不要で蒸しただけで十分美味しいです。

狭い洞穴のような薬草の蒸し風呂は他では無いと思います。
韓国のサウナに似ていますが、薬草の香りが違います。

道後は市電で行きますし単純泉の名湯です。

本館、椿の湯ともに歴史的文化財の建物、子規の「10年の汗を道後の温泉(ゆ)で洗へ」を刻んだ浴槽など、申し分無いのですが、休む場所がありません。

本館2階の大広間が有料休憩場ですが、座布団がビッチリ並び、お茶とお菓子が出されます。
お茶もお菓子もいりません。横になれないことが苦痛でした。
3階の個室は階段も値段も高くて行けません。

有馬も関西の奥座敷として古くからの名湯で知られています。

若者たちを意識した街つくりも好感が持て、人気のレストランは満員で入れませんでした。
金の湯、銀の湯など、誇大広告すれすれですが、よくこんなネーミングを思いついたと感心しました。
休日などは観光バスが止まり、混み合うということですが、肝心の湯質は感心しませんでした。
老舗旅館には名湯があるようですが、日帰り客には入り難く、奥の方にある大型ホテルは閉館で入り口に鎖が張られ、ひと昔前の熱海のような雰囲気だと言うと、少し言い過ぎかもしれません。