卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

豊洲市場開場記念式典-「安全・安心市場へ」小池知事

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小池知事を真ん中にテープカット

2018年9月13日、豊洲市場7街区水産卸売場で行われた豊洲開場記念式典を取材した。

市場前駅に下りると、反対のチラシを配付している人もいて、入場も厳密にされている。式典参加者は886人と発表された。市場内で行われるイベント参加者数が一人の単位まで発表された経験は初めてである。

豊洲を担当した東京都OBと一緒に入ったが、受付がどこか分からず、管理棟からグルッと一周し、ようやく受付にたどり着いたが、取材陣の受付はなく、聞くと受付の女性も分からないなど、警備が厳密な割に案内はアバウトであったが、まあ、千人から来るのだから、そんなこともあるだろう。

特に取材陣は、数日前の案内にもかかわらず170社(170人?)が申し込んだらしく、ごった返していて、内覧会で回る小池知事の姿を撮るためだけに大型バス3台が用意され、青果卸売場で東京シティ青果の鈴木社長の説明を聞く小池知事の姿を1分か2分あっただろうか、カメラが回って、それでまた整然と会場まで帰ってきた。大変なことだ。

会場には小池東京都知事始め国、東京都、江東区幹部初め業界関係者約が並び、午前9時から10時45分までの内覧会に続き、記念式典は午前11時〜11時45分まで、祝賀会が正悟から午後1時まで行われた。

挨拶に立った小池知事は、平成13年の豊洲移転決定以来、様々に紛糾してきた経緯に触れながら「様々な議論がありご心配をかけた。2年前に、私は安全性が確認されていないとして一旦開場を延期し、専門家会議の調査、対策を経て豊洲市場の安全性を確認したうえで10月11日の開場を決めた。80有余年の蓄積を持つ築地ブランド力を継承し、新たに100年を展望した豊洲市場に向けて関係業界の一層のご支援をお願いしたい」と述べた。

また業界を代表して伊藤裕康築地市場協会会長は「あらゆる面で感慨無量である。昭和30年代から平成3年にようやくまとまり現在地再整備となったが、現在地で営業しながら再整備するローリング方式が上手くいかず平成8年に現在地を断念し平成13年に12月になって東京都の第7次市場整備計画で豊洲移転が決定した、その後紆余曲折したが、昨年6月20日に平成30年10月11日の開場が決まった。ようやくここまでたどり着くことが出来た。市場開設は一つの作品作りだと思っている。多くの先達の伝統を継承し、ブランドを築いていく。長い時間をかけた後に本当の作品が生まれることになるだろう」と、個人的な思いを込めた挨拶となった。

また国を代表して、新井ゆたか農林水産省食料産業局長が齋藤健農水大臣の祝辞を代読「食品の安定供給を担い続けて80有余年を過ぎた築地市場の豊洲移転が平成13年に決定し、その後市場の安全安心対策を経て、今年8月13日に東京都から開設許可申請書が出され、9月10日に安全安心な環境が整ったとして許可された。今後も安全安心な食品流通に取り組んでいくことを期待する」と述べた。

また尾崎大介東京都議会議長、山崎孝明江東区長からも、それぞれの立場から豊洲市場実現までの経緯に触れながら今後とも豊洲市場に対する支援を続けたいと祝辞を述べた。

式典はその後、壇上に来賓10数名が並び、小池知事を中心にテープカットとくす玉割りが同時に行われ、午前11時45分、式典は終了し、場所を移して祝賀会が行われた。

祝賀会で水産仲卸の知った顔があったので「来たのですか」と言って「出店者だ、来るのが当たり前だろ」と叱られて気がついたのだが、千人の中に、豊洲市場で働く人たちは何人いたのだろうか、招待されていないのか、招待されても来なかったのだろうか。

小池知事は懸案が解決したこともあってか祝賀会にも顔を出し、参加者への挨拶や写真撮影に応じていた。

注目の開場は10月11日である。
10月6日を築地市場における最後の営業日として移転準備に入るが、全ての準備が整ったとはいえず、未知数の部分を抱えながらの開業となる。

新卸売市場法も2年後、2020年には施行され新たな卸売市場法が施行されるなかで、平成から新たな時代に移るときに新たな法律、新たなハードをどう活用するか、今後の市場流通の方向を左右するチャレンジとなる。