卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

立体化市場の立体活用

京都南部市場、大阪鶴見フラワーセンター、神戸本場を回りました。
ついでに京都駅に途中下車し嵐山から広隆寺の弥勒菩薩を見て、丸に十の字の島津製作所の前を通って嵐電で帰ってきました。

先だって、久しぶりにTVでノーベル賞受賞者の田中耕一先生を見て、ずっと島津製作所で基礎研究を続けておられるのだとうれしくなり、何を売っているのか知らない島津製作所にまで好感を持ちました。

神戸では、いつも情報交換等で親しくしてもらっている食品市場新聞の記者の方に案内してもらい、全面開業したイオンの1階から3階までを見て、昼食をご馳走になりました

大阪では第3セクター市場協議会に、京都では京都南部市場にご馳走になり、なんだか他人のお金で食べてばかりいる気がしましたが、たぶん気のせいではないと思います。

イオンは第一期オープン時と見違えるようになっていました。
通路が広く、腰を下ろす休憩ソファも多く、フードコートもかなり広くなっています。
通常のイオンモールよりは狭いとのことですが、1階の鮮魚売り場は、本場仲卸から仕入れた魚が「本場仕入れ」のシールを貼って売られていてアイテム数も多くなっています。青果売り場も出店が増え広くなっています。

三宮、元町が競合相手でテナント誘致に苦労したようですが、川沿いのテラスで食べるリバーサイドランチ等、楽しめるゾーンも多く、更に本場との相乗効果が大きくなることを期待できそうです。

韓国でも駅前のビルをそっくり使って営業している花市場を見たことがありますが、大阪鶴見フラワーセンターは花博の跡地に建てられた三井アウトレットの下部に位置する立体型で、全国有数の花き流通の拠点市場です。

卸売市場と消費者集客施設が同じ施設内に共存するという日本でも初めての市場施設であり、昨年には輸出対応をメインにした温度管理機能を備えた配送センターを建設するなど改正市場法下での機能拡充に取り組んでいます。

今年の10月には東京豊洲市場で同じく立体型の卸売市場がオープンします。
今、習熟訓練を繰り返していますが、何千台ものトラックを使った訓練は出来ませんので、実際は開場しないと分かりません。

開場直後はどんな市場も混乱しますが、ずっと混乱する市場はありません。

豊洲市場は、今後の市場施設の立体化機能の試金石となる位置付けを持っています。

将来的に市場用地は、十分な広さが確保されなくなる可能性が高くなるだけに、こうした市場機能の多様化を活かす立体化市場の立体的活用が、将来的な市場会計の経営健全化を目指すためにも不可欠になってくると思います。