卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

卸売市場の課題

歴史的経緯と公共性

改正市場法に関する国の説明会で、都民ファーストの小島敏郎顧問が質問した中央市場の開設要件である開設区域が廃止されたことによる開設自治体の公的共責任、公共性の問題は重要な問題である。 ある自治体で、開設区域を越えて自由に商売している市場業者に…

改正市場法と公共性

今までの国の説明会で明らかになった改正市場法における公共性に係る部分は概要次のとおりである。 許認可制から認定制に移行することで行政関与は明らかに後退する。 市場外施設も支援対象となり、卸売市場に帯する財政支援は広く薄くなる可能性が高い。 開…

開設者の属性と行為の公共性

卸売市場の公共性の根拠については、社会的インフラとして整備され機能している点が公共性であるという理解が一般的だと思います。しかし卸売市場は食品の唯一の社会的インフラではありません。「食料品の安定供給による国民生活への貢献」という卸売市場法…

国の関与と公共性

3月末に行われた日本農業市場学会公開特別研究会「卸売市場の現在と未来を考えるー流通機能と公共性の観点からー」を聞きました。公共性の視点から改正市場法を評価、論議するという興味深いテーマです。 報告者は3人で、広島市場の再整備に取り組んでいる…

筑地市場とHACCP

HACCPの義務化まで2年を切り、業界でも慌ただしい動きが出ています。厚労省基準AとBは取扱規模によって決まる可能性があったことから、取り扱いが大きい市場卸は基準Aとなり、厳しいCodex基準が義務つけられると言われていました。 しかし、市場業者は製…

卸・仲卸の垣根

改正市場法によって、卸と仲卸の垣根は無くなりますが、この垣根は、正確に言えば改正市場法によって無くなったのではありません。現行市場法が、受託と買付、せりと相対をフリーにし、手数料率の自由化を導入した時点で無くなったのです。卸と仲卸の垣根は…

改正市場法と卸・仲卸

仲卸と卸の関わり方は、確かに仲卸の立場からするとメリットよりもデメリットの方が多いと思います。 もともと卸売市場法における仲卸の位置付けは売買参加者と同じで、仲卸は市場内に施設を持つ販売業者というだけの違いです。「市場取扱高」はイコール卸の…

改正市場法と施設整備

農水省は3月12日の全国説明会を皮切りに4月24日まで全国10か所で改正市場法についての説明会を開いています。 昨年12月から繰り返し説明会を開いていて、その内容は参加者にとって必ずしも満足のいく答えではなかったのですが、やること自体は悪いことでは…

改正市場法によって卸売市場はどう変わるか-食品流通政策の歴史的転換、規制緩和の最終章に

Ⅰ.制度改正の流れ 前回の記事にまとめたのが、今回の改正市場法によって変わる可能性がある課題です。今回は、こうした政策の変化について簡単に経緯をみていきます。 1.平成28年の動き 農業・漁業の第一次産業を食品流通の一環として構造改革するために…

改正市場法によって卸売市場はどう変わるか-取引、施設整備、開設者の変化

平成30年(2018年)6月の国会成立をめざす改正市場法案が明らかになりました。 現在の条文83条が19条となったのをはじめ、「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」(適正化法)とセットで機能し、許認可制から認定制になるなど、実質は「卸売…

改正市場法は平成新法

改正市場法案が明らかになりました。 現行83条が19条と基本方針だけになり、適正化法とセットで機能し、事前許可制から事後承認制になるなど「卸売市場法改正」でなく明らかに新法です。 大正12年の中央市場法、昭和46年の卸売市場法に次ぐ平成の新法です。 …

市場法改正をめぐる課題

市場法改正をめぐる状況が徐々に明らかになっています。 スケジュール 卸売市場法改正と食品流通構造改善促進法改正は、「及び法」として二本の法改正をセットで上程します。6月まで開かれている通常国会に向けてのスケジュールは今のところ次のような予定…