卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

改正市場法と卸・仲卸

仲卸と卸の関わり方は、確かに仲卸の立場からするとメリットよりもデメリットの方が多いと思います。

もともと卸売市場法における仲卸の位置付けは売買参加者と同じで、仲卸は市場内に施設を持つ販売業者というだけの違いです。「市場取扱高」はイコール卸の販売高であって、仲卸の売上高は入りません。

そして市場法はこの前提に立って、卸は仲卸と買参人以外に売ってはいけない、仲卸は当該市場卸以外から買ってはいけないことを取引原則にしています。
この取引原則が廃止されますと、卸と仲卸は対等になり、財力のある卸が有利なのは当然のことでしょう。

この関係は、量販店の台頭によって小売専門店が壊滅的な状況になった大店法等による規制緩和と通じると思う方も多いと思います。 
違うとすると、量販店は最初から専門小売店の競合相手として登場し、財力の違いで専門小売店や地域商店街を廃業に追い込んだのですが、市場の場合は同じ施設内で集荷と分荷という機能を分け合ってきたという歴史があります。

そして、量販店の伸びと小売店の減少は反比例しているのに対して、市場流通は卸、仲卸共に伸びるときも低迷しているときも共通しています。どちらか一方の伸びと低迷が反比例していると言うことはありません。

そうした意味で卸と仲卸がいわゆる車の両輪であることは変わりません。この関係が改正市場法の施行によって劇的に変化するでしょうか。
例えば、仲卸は専門小売店のように壊滅的打撃を受け、その反比例として卸が伸びてくるのでしょうか。
あるいはまた、従来の市場法を維持すれば市場外からの侵食を受けずに卸、仲卸ともに伸びることが出来るのでしょうか。違うということは明らかだと思います。

市場法があったから卸と仲卸がともに伸びたのではありません。社会・経済の反映です。
卸と仲卸の体制が社会的、経済的合理性を持っていたから伸びたのです。そして今も合理性があるからこそ仲卸機能は残っているのです。

法律があるから仲卸と買参人以外は売らないというほど卸は人が良い存在でないことは誰もが知っています。
仲卸の業務を全て卸が担うことが出来るなら、ためらいなく卸はやるでしょう。
やっていないのは卸売市場法に違反するからではなく効率的ではないからです。
仲卸を排除し自ら仲卸機能を持つより、仲卸と協力して集荷・販売に取り組んだ方が効率的だからです。

しかし、それだけでは市場の低迷を防ぐことが出来なかったのが卸売市場の現状です。
現在の市場法では限界がある、どうするのか、それが市場業界に問われています。