卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

能登のさかな

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平日の午前中とあってガランとしている能登食祭市場

先日、能登半島に行き一泊した。

金沢からIR石川鉄道の各駅停車に乗って80分、黄金色に波打つ稲畑が続く。能登地域の地層は珪藻土のためハウスが少なく稲作が多い。
食べる意欲・能力は衰えたが、能登に来て魚を食べないと残された人生は後悔の日々となるだろう。
七尾駅から徒歩10分の、七尾港にある直売所「能登 食祭市場」に行った。

「みそぎ川」(禊ぎ川)沿いに歩き、ベンチで休み過去の禊ぎをお願いしたり、与謝野晶子が和倉温泉の帰りに詠んだ句碑「家々に 珊瑚の色の 格子立つ 能登のなヽ尾の みそぎ川かな 晶子」を見たりして、30分以上かけて着いた。

疲れたので港で休み、誰もいないベンチでカバンを枕に文庫本を読み、穏やかな波音を聞きながら昼近くまで時間を潰し、ようやく能登の魚にたどり着いた。

感想はひたすら美味かった。
「生きていて良かった」は常套句だが、そんな感想はない。
もう少し生き、もう少し食べたい、ささやかな妄執である。