(株)石巻青果とJA岩沼市は、資本金5,500万円(石巻青果86%、JA岩沼市14%)の共同出資により「(株)岩沼青果」を設立、4月1日から岩沼青果地方卸売市場(宮城県岩沼市末広一丁目6-40)の業務を引き継いだ。
これにより石巻青果は東松島市にある地方市場以外に、初のグループ市場を有することになる。
宮城県下4農協(仙台、岩沼市、名取岩沼、みやぎ亘理)は統合し、2025年4月1日に「JA仙台」が発足した。
JA岩沼市はこれまで運営してきた「岩沼青果地方卸売市場」を、4農協統合により切り離さざるを得なくなり石巻青果に要望、石巻青果も産地市場と消費地市場の連携強化と優良産地である仙南地域での集荷・販売機能を目指すことで合意、実現した。
新会社「(株)岩沼青果」の概要は以下の通り。
石巻青果は東松島インターチェンジに隣接する「石巻青果花き地方卸売市場」を開設する民設民営市場であり、宮城県の広域拠点市場。今回のグループ化により石巻青果の売上は年商200億円が現実のものとなる。
岩沼青果市場の売上は現在8億円だが、震災前は20億円を超えており、施設規模からは十分可能である。
JA岩沼市は市場施設・内装ともに補修したうえで石巻青果に土地・建物を50年間貸与、うち10年間は無償である。
従業員は1名が岩沼農協に残る以外、13名全員が新会社で働いてくれます。今野社長とも長年のお付き合いですので不安はありません。生産者も高齢化しており仙台までは遠いという方も多く、石巻青果との連携は歓迎して頂いており今までと反応が違います。現在は年間8億円ですが、ピーク時は23億円でした。石巻と連携すると一気に広がると思いますのでピーク時を目指していきます
JA岩沼市から市場を残したいので協力して欲しいというお話をいただきました。
宮城県青果市場連合会は現在6市場であり、産地と消費地市場の架け橋となる市場が少なくなっています。市場がなくなると、住民にとって良くないだけでなく、出荷難民が出ます。小売の仕入れ先もなくなるので仙台や石巻に行かなければならなくなります。また石巻青果にとっても県北は人口が減っていますが、仙南地区は減っていませんし生産者、出荷者を起点にした開拓を図ることができます。
石巻青果も12月までの数字は単価高に助けられて売上は前年をクリアできましたが近年いないほど数量は減っています。石巻青果は、これまで仙南のJAとの付き合いが少なかったのでこれを機に関係を深めて数量減・単価高の流れを止めたいと思っています。集荷便は今も石巻~仙台~岩沼のルートがありますので、岩沼市場まで持ってきて頂ければ石巻青果として責任を持って販売していきます
消費地の地方市場が主導的にJA産地市場と連携し集荷販売を強化する取り組みは、いま国が出している流適法(食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律)や物流効率化法改正による生産から消費に至る生鮮食品サプライチェーンの一体的な効率化を図る政策を先取りするものである。
市場再整備に直面している仙台市場のあおば青果も、東北6県の青果流通の集荷・販売拠点としての機能強化を目指しており、東北の新しい青果市場流通をめざす取り組みが進むだろう。