今までの国の説明会で明らかになった改正市場法における公共性に係る部分は概要次のとおりである。
一方、現行法は、行政が責任を持って市場整備を行うが規制もするという、保護と規制が根幹である。
このため、卸は「自己の計算による卸売り」が禁止され、集荷は法定の手数料以外は収受してはならない、販売は仲卸と認可された買参人以外は売ってはいけないという制限を設けている。
この制限が法的に維持され、機能してきたのは、規制によるデメリットよりも保護のメリットが大きかったから、つまり卸、仲卸ともに儲かったからである。
しかし儲からなくなった。
手数料業者として厳しく規制してきた行政も「儲けてはいけない」手数料業者から「儲けることが企業責任」の差益業者へ転換を求め、儲ける手段として例外規定による規制緩和が相次いだ。
しかし規制緩和には保護の縮小がもれなく付いている。規制法をそのままにして差益業者への転換を求めることには無理があった。
差益業者への転換を求められたときから、卸と仲卸の法的な垣根は無くなったのである。儲けなさいといいながら、仕入れ先や売り先を行政として規制することは論理の矛盾である。
仲卸の直荷と第三者販売の禁止は規制法の根幹であり、この部分を例外規定で対応することは無理があったと言わざるを得ないだろう。現行市場法と改正市場法が別物であるという最大の根拠である。
ただし、完全な自由主義経済の鍋の中に放り込むということではない。
現行市場法は、規制法として法全体が公共性を具現化していたから、公共性と改めて強調する必要はなかったのだが、改正市場法は規制条文のほぼ全てを削除したので、行政関与を何らかの形で残さざるをえない。
そのキーワードが公共性である。