全国には中央市場に匹敵する規模の民生民営市場が多くある。
もともと市場流通は民営市場だけであったから、公設市場に入場せず民設民営市場のまま営業している市場が最も多いことは当然である。
今も卸売市場の8割が民営市場である。
大型市場となったケースで、よく知られている市場をあげると、旭川のキョクイチ、丸勘山形、長野市場のマルイチ・連合青果・長印、多摩青果、埼玉の浦和中央青果、大宮市場、上尾市場、熊本田崎市場などがある。
これらの市場は行政による公設市場の開設を目指しながら実現できなかった市場が多く、例えば長野市場は長野市が公有地に中央市場開設を計画したが、各卸が中央市場卸として扱い業種等の制限を受けたくないとして土地を卸各社に譲渡し各卸が施設を整備する民営市場方式に転換したケースである。
多摩青果はおそらく全国で最も豊かな資産を持つ卸だろうが、これは昔、東京都が多摩地区に4つの中央市場を整備する計画を立て、多摩青果もこの整備計画に沿って将来的に中央市場に入場する卸として4つの支店を開設し、結果的に中央市場構想が挫折したことで民設民営市場として大型化したというケースである。
埼玉県には青果、水産の中央市場がなく、浦和、大宮、上尾の三市場を川越の第三セクター市場に統合再編しようとしたが業界調整がうまくいかず、そのまま残ったケースである。
これらの他にも特徴的な民営市場はある。
かつて西友が北陸の中央市場卸として参入しようとし実現できなかった時代とは大きく変わってきている。
来年度の改正市場法施行後はこうした様々なパターンがさらに増えるだろう。