卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

「卸売市場」をどう読むか‐卸売市場雑学雑談その1

「卸売市場」をどう読むか

卸売市場は「おろしうりいちば」と読むのか、「おろしうりしじょう」と読むのでしょうか?

株式市場を「かぶしきいちば」と読む人はいないでしょうが、証券取引所の取引用語には卸売市場と共通する用語がたくさんあることはご存知の方が多いと思います。

「市場」を「いちば」と呼ぶのは文字通り「市が立つ場所」だったからです。物々交換の時代から山の幸と海の幸を交換する場はありましたので、「いちば」は現実に人と物が取引のために集まる場であり、「しじょう」はバーチャル上の取引の場と理解するのが簡単だと思います。

たとえば「大田市場」(おおたいちば)は、正式には「東京都中央卸売市場大田市場」ですが、「東京都中央卸売市場」という具体的な「いちば」はありませんから「しじょう」であり「大田市場」は現実にありますから「いちば」になります。

もっとも近年は「おおたしじょう」と呼ぶ方も多いですし、水産物もエビなど現物の先物取引も増えていますので、どちらでも構わないのではないでしょうか。
何せ国名を「にほん」と読んでも「にっぽん」と呼んでも構わないというアバウトな国民ですから。

「一日市」をどう読むか

ちなみに全国には「1日市」ら「10日市」まで全部ありますが、これは市が立つ日のことで、例えば4の付く日に立つ市が「四日市」で、その場が集落として発展し町になると「四日市町」でさらに発展し市になると「四日市市」となります。
今も市町村の名前として次のような名前が残っています。他にも駅の名前などにもあります。
英語の「market」には「しじょう」と「いちば」の両方の意味があるようですが、区別した言葉があるのでしょうか。

卸売市場と物流センターの違い

また卸売市場と物流センターは、どう違うのかということも時々出されますが、人と物は市場も物流センターも集まります。
違うのは「不特定多数に売るか」「特定の顧客にだけ売る場」であるかの違いです。
これも「物流と情報」は今や卸売市場の根幹をなす機能ですから、この垣根も低くなってくると思います。

市場にちなむ地名

参考までに現在も「市が立つ日」が地名として残っている自治体名をあげておきます。

新潟県新潟市一日市町(ひといちまち)
福岡県筑紫野市二日市
三重県鈴鹿市三日市
三重県四日市市
東京都五日市町(現あきる野市)
島根県六日市町(現吉賀町)
群馬県富岡市七日市
滋賀県八日市市(現東近江市)
兵庫県豊岡市九日市
広島県広島市中央区十日市
広島県廿日市市

諏訪湖近くの野仏