卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

物流と情報の重要性

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春を待つ 前橋市内 馬場川通り

新たな物流政策大綱と食品流通合理化検討会

物流と情報が国の重点政策として取り組まれている。
食品流通については農水省だけでなく経産省、国交省の三省共同による「食品流通合理化検討会の中間取りまとめ」が2020年4月に出された。
この主要なテーマは青果、水産の第一次産業のサプライチェーン効率化と「ホワイト物流」の推進である。
「中間取りまとめ」は課題として「トラックドライバーをはじめとする食品流通に係る人手不足が深刻化する中で、国民生活や経済活動に 必要不可欠な物流を安定確保するには、サプライチェーン全体での流通合理化に取り組む必要」と述べている。

この方針の基本となるのが国交省の「総合物流施策大綱」である。

国交省は昨年、7回にわたる「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」を開催し、次期総合物流施策大綱の策定に向けた「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」提言をまとめた。

国交省は昨年、7回にわたる「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」を開催し、次期総合物流施策大綱の策定に向けた「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」提言をまとめた。
今春閣議決定される予定だが、この提言で重点施策として次の三つの方向性が出されている。

  1. 物流DX(クロスドッキング)や物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の最適化
  2. 労働力不足対策と物流構造改革の推進
  3. 強靱で持続可能な物流ネットワークの構築

食品流通合理化検討会で出された「サプライチェーン全体での流通合理化」と、物流政策大綱の提言の「サプライチェーン全体の最適化」は、内容は全く同じである。

「サプライチェーン全体の最適化」について具体的な課題として、
①DX(クロスドッキング)や②物流標準化の推進をあげている。

クロスドッキング方式とは、物流センターに納入された商品を配送先別に仕分け(ピッキング)し店着配送する方式である。
青果、水産、食品が搬入される卸売市場に建設するのが適しており、冷蔵庫の1・2階を活用し、こうした作業を行っているPC(プロセス)センターも増えている。

コロナ禍での新たな日常〜「経済財政運営と改革の基本方針2020」

政府もまた2020年7月に決定した「経済財政運営と改革の基本方針」においてコロナ禍における新たな日常を目指す「Society 5.0」の課題として「社会全体のデジタル化を強力に推進」することを掲げている。

菅総理も国会年頭の所信表明でグリーン(環境)とデジタル化(IT)を中心的な政策とすると述べている。

「デジタル化」を物流面で具体化した「フィジカルインターネット」など、物流と情報は市場流通においてさらに重要性を増すだろう。