2020年9月23日、農林水産省は自民党農林合同会議に対し2021年度予算に向けた組織・定員要求の説明の中で、新たに①輸出・国際局、②農産局、③畜産局、の三つの局を新設する組織再編案を示した。
年内には決定し、令和3年4月1日からの実施を目指している。
現在の食料産業局は輸出と食品産業、卸売市場等を担当しているが、輸出部門を外し大臣官房で担当している「国際部」と統合し「輸出・国際局」とする。
輸出は安倍政権の重点課題であったが、菅政権は2030年度までに農産物や食品の輸出額5兆円を目標として掲げており、輸出関連を一元的にまとめ取り組んでいく。
卸売市場流通においても重要な課題となるだろう。
また、食料産業局の輸出を除く食品部門は、大臣官房に新たに設けられる「新事業・食品産業部」となるが、食品流通課と卸売市場室の所属は公表されていない。
従来、生産局が担当していた園芸は米、麦、大豆と一体化し、新たに「農産局」となり、同じく生産局が担当していた畜産部は「畜産局」に格上げされ新たな局となった。
青果市場は今までも生産局とのつながりがあったが、組織再編によって青果市場は生産局と、水産市場は水産庁とのつながりが強くなることも考えられるだろう。
食品流通は近年、国交省や経産省と3省合同で取り組むケースが多く、今も3省合同による「食品流通合理化検討会」が開かれており、食品流通の効率化に取り組んでいる。
改正市場法によって、卸売市場は「生鮮流通を食品流通の一部」とシフトすることで市場内、市場外の垣根を外し効率化する方向を明確にしている。
こうした一連の動きは、100年にわたり青果、水産、食肉の生鮮三品に特化した「卸売市場流通」を推進してきた政策の大転換であり、市場業界もまた「食品のサプライチェーン」構築に対応した販売・流通の新たな展開が求められている。