卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

私の好きな美術館−その2

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鏑木清方記念美術館 鎌倉の小町通りに案内があるが分かりにくい

好きな美術館は、前回あげた以外にもたくさんある。

中でも日本一美術館が多い長野県は、諏訪湖湖畔の小さな美術館や山下清美術館(茅野)、ちひろ美術館(安曇野)、禄山美術館(安曇野)など多彩である。

彫刻が好きな方は禄山美術館がいい。有名な「女」や「手」で知られる荻原守衛(禄山)美術館で緑に囲まれた建物もいい。真夏に行き、わさびのアイスクリームを食べた。

山下清美術館は、ボロボロの「しもた屋風」の美術館で「放浪美術館」の名前にふさわしい。今もそのままあるのだろうか。アパートの管理人のような面白い館長だった。作品の相続をめぐるトラブルなど聞いた。

ちひろ美術館は東京都練馬区の上井草にあった頃、近くに住んでいたので知っている。画集も何冊か持っていて、ご本人とも話したことがある。ご主人が共産党の国会議員、松本善明氏で、当時の共産党国会議員では一番人気があったと思う。政治家と芸術家の家庭で家政婦さんが苦労したというつまらない話まで聞いた。ご子息が安曇野の館長である。

他にも美人画で知られる鏑木清方(かぶらぎ きよかた)記念美術館(鎌倉・写真)もいい。

いしいひさいちの漫画で、観光客から場所を聞かれた広岡センセから「そこはつまらないから県立近代美術館に行け」とけなされているが、私は鶴岡八幡宮にある近代施設となった日本最古の公立美術館より、小町通りの路地奥にある清方が住んでいた小さな一軒家の鏑木清方記念館がお気に入りである。入館者も少なく休むところもあり疲れない。

中川一政美術館(真鶴)は真鶴半島の中腹にあり、傾斜した土地を利用した施設もいい、バラや駒ケ岳連作の絵画、書、陶芸など中川芸術が堪能できる。
画家だが、晩年は書家、陶芸家としても日本の最高峰となった。帰りは山頂まで行き相模湾を一望し、鉄幹の書による与謝野晶子の歌碑「吾が立てる真鶴崎が二つにす 相模の海と伊豆の白波」を見て「アジ定食」を食べて帰る。

土門拳記念館(酒田市飯盛山)は本人も建設に関わったようだが、酒田市の飯盛山公園の中に溶け込んでいて、ゆったりとした館内で、大きい仏像や筑豊の子供達の迫力ある写真が楽しめる。

山形は好きで時々行く。米沢は、今は「牛肉どまん中」弁当が有名だが千円で米沢牛を食べることはできない。ステーキは最低でも5千円する。諦めて米沢ラーメンを食べた。市役所のかたも「私らも米沢牛を食べるのは年に一回あるかどうかですよ」と言っていた。悔しいので本店でしか売っていない米沢牛を使った少し高い弁当を買って車中で食べた。
山形大学工学部も歴史的建造物で素晴らしい。

鶴岡市には藤沢周平記念館もあって、気まぐれで鶴岡から山形まで長距離バスに乗ったことがある。途中に「藤沢周平記念館」があった。降りたかったが最終便で断念した。4月頃だと思う。月山を通る頃は夜になり、一面雪が残る中を樹々の根元だけがポッカリと溶け漆黒の空洞が点々としている。雪明かりのなかで月山にふさわしい幻想的な風景を見ることができ満足だった。藤沢周平に「雪明かり」の短編がある。