卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

コンビニは「社会悪」なのか

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年明け早々訴訟沙汰になっているセブンイレブンを始め、元日休業問題と時短でコンビニが社会問題になっています。
セブンは売上げ、利益ともに他のコンビニを圧倒する巨人ですが、数年前から集中的に本部と加盟店の間でトラブルが相次いでいました。

14年にはロスチャージ問題での訴訟で初めてセブン敗訴が出ています。
さらに15年度末には加盟店主の自殺問題等による「ブラック企業大賞」を受けています。
このブラック企業大賞は、ウィキペディア(ネット百科事典)でも詳細に掲載されていますが、ワタミ社長辞任のきっかけとなった有力媒体です。
そこからセブンは「ブラック企業大賞」という不名誉な受賞をしたのですが、この時のセブン受賞にマスコミは全く反応せずセブンアンタッチャブルとなっていました。

しかし、最高裁の敗訴に続き経営トップの問題や時短、無断発注などが表面化したことで、ようやく取りあげられるようになり、人手不足が深刻化する中で、24時間営業が利益の源泉である本部と、人件費のコスト・店舗間競争の激化で経営的に苦しくなっている加盟店の矛盾がここに来て一気に社会問題となって来ました。

言うまでもないことですが、コンビニがここまで発展したのは社会的な支持があったからであり、いわゆるブラック経営で伸びたわけではありません。
なぜ伸びたのかについては省略しますが、全てのコンビニは、加盟する条件にお金だけでなく社長以外に奥さんや兄弟など労働基準法の対象にならない働き手2人がいることが入っています。
つまりコンビニは、家内労働に支えられて初めて営業できる零細小売店の現代版であり、社会のニーズを見事にとらえたビジネスモデルの典型ではないかと個人的には思っています。

今回の提訴の特徴

加盟店主が自死したから、従業員が過労死したからという問題は重要ですが、ここではコンビニはなぜ本部と加盟店が訴訟となるのか、その争点は何かという視点から見ていきます。

直接のきっかけは人手不足で時短営業と元日休業を実施したフランチャイズに対し契約解除と違約金1700万円を請求したことに対し当該加盟店(大阪府東大阪市)が年明け契約継続の提訴を行っています。
加盟店が行なった時短は、午前1時から午前6時まで5時間営業せず、一日24時間営業から19時間営業とする「時短営業」です。

19時間営業でも充分すぎるほどの長時間営業ですが、なぜ本部がここまで24時間営業にこだわるのでしょうか。
なぜフランチャイズは契約通りできず、脱退することもしないのか、ネット上では「嫌ならやめればいいじゃないか、なぜ契約継続を求めるのか」、「自分の意思で契約したなら守るのが当然」という意見も多く出されています。

フランチャイズは独立した経営者なのになぜ営業時間を自分で決めることができないのか、その理由がフランチャイズを中心に飛躍的に伸びてきた「コンビニ商法」の秘密です。
果たしてコンビニは「社会悪」なのでしょうか。

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