卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

「消費者開放」は上から目線?

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岡山中央市場の関連売場。営業時間をすぎていたため店はしまっているが、市場では数少ない関連売場の成功事例である

卸売市場の消費者開放は、民営市場だけでなく多くの公設卸売市場で行われている。

「消費者開放」は「本来は売らないのだが特別に売る」という上から目線が感じられるのだろうか、「開放市」という名称は少ない。

参考までに消費者開放を行う前提としての考え方と、全国各地で使われている消費者開放デーのネーミングを紹介する。

1.市場開放を成功させるための注意

  1. 卸売市場のスタンスを崩さない。「卸売市場」というブランドは「安くて美味くて鮮度抜群」のイメージは圧倒的な集客力を発揮する。
  2. スーパーとどこが違うか、市場ならではの差別化・特色が必要。
  3. チラシ、地域新聞の活用をはかる。行政広報の協力、ネットの活用も。
  4. 市場開放日のネーミングも重要。
  5. 販売企画は偉い人より若い人。女性の意見。
  6. 「とりあえず実施」は失敗。準備は時間かけて意思統一。
  7. 水産・食肉・青果の生鮮3品が集客力の要。
  8. 関連単独は魅力少ない。売る立場より買う立場。
  9. 総合食品のワンストップ、酒の安売りも魅力。
  10. 参加は強制しない。店の前をきれいにしておくなどの協力だけ。
  11. 小売商の協力を得る。参加しない仲卸店舗で小売商に売ってもらう。組合単位の販売はしない。売れば自分の利益に。従業員のただ働きもさせない。
  12. 共通の目玉商品、抽選・プレゼント等は有効。
  13. イベントによる集客は一時的。無理のない範囲で。
  14. 集客のカギは鮮度と価格と品そろえ。
  15. 休憩所も準備。
  16. 商品のはみ出し、ゴミ出し厳禁。
  17. 販売開始よりも販売終了時刻の統一が大事。(早く開始しても終了時間までは売る)
  18. 売上・経費等も含めた実施後の総括を必ず行う。
  19. 顧客のリストつくり。とりわけ料飲食店は事前のダイレクトメールや500円等の買物サービス券で市場の顧客としてつかむ。

2.消費者開放のネーミング

市場内に直売所を作った場合は道路沿いでないために「道の駅」は使えず、都城は「市場の駅」、川越は「生鮮漁港」となっている。

すでに使われていないネーミングもあるが、今後行う市場の参考までに。

 

「いちばの朝市」(北勢民営地方)

「市場の駅」(都城公設地方)

「街のまんなか日曜市」(松山中央)

「甲府さかなっぱ市」(甲府公設地方) 

「だんべえ市」(前橋民営地方)

「ごんせ市」(長浜3セク地方)

「真っ昼間市」(府中民営地方)

「ニコニコ感謝デー」(高崎・3セク地方)

「元気朝市」(栃木県南・民営地方)

「みとっぽわくわく感謝市」(水戸市場公設地方)

「いかっぺ市」(土浦民営地方) 

「朱雀市場食彩市」(京都中央)

「いちばいち」(川崎公設地方)

「魚果菜(ととかな)塾」(神戸本場)

「生鮮魚港川越」(埼玉川越市場)

「市場ふくふく通り」(岡山中央)