卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

卸と仲卸、買参人の垣根廃止−東京都 業務許可から施設契約に

f:id:chorakuan:20190810182702j:plain

改正市場法は、従来の取引規制条文をほとんど削除していますが、業務規程は各市場の判断で策定することができることになっています。
中央市場の中には京都のように現行の業務規程を変更せず、そのままにしようという動きもありますが、各地の中央市場では、卸と仲卸の主張に隔たりがあり業務規程案の策定が難航しています。

そうした中で、東京都は7月26日に徹底した規制廃止の方針を打ち出しました。
卸、仲卸、小売買参の垣根を完全に廃止するとともに「業務許可制」から「施設使用許可制」にシフトする条例案を提示したのです。
卸と仲卸は業務面での許可要件を全てなくし、開設者と施設の使用契約を結ぶだけになります。

そうなると、市場業者の業務は、第三者販売や直荷、自己買付け等の取引や、卸、仲卸、買参人の役員兼務など完全にフリーとなります。

今まで中央市場は、規模は大きいが規制も強く、卸と仲卸の機能分担によって伸びてきたのですが、そうした条件が全て撤廃されます。
もちろん、東京都の条例がそのまま全国市場に共通することにはならないのですが、豊洲、大田など11の中央市場を開設する全中協の会長都市です。否応なく全国市場に波及することになるでしょう。

こうした流れは地方市場にも当然、影響することになることは避けられません。
「規模の中央、機能の地方」とも言われてきましたが、地方市場でも中央市場よりも大きな規模の市場が出てきていますし、今後、中央市場と地方市場の優位性は、個々の卸売市場の企業戦略に左右されることになっていくでしょう。