卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

尼崎市場の水産卸に「一光園」

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大阪堺市の一光園本社(会社サイトより)

「一光園」いかにもお茶屋さんを想起させる社名だが、尼崎公設地方卸売市場の水産部卸と入場することが決定した。今秋にも営業を開始することで準備を進めている。

一光園は、もともと寿司屋向けのお茶を販売していて、寿司ダネを扱うようになって規模を拡大し、2006年に中堅商社「稲畑産業」が全株を取得、食品部門でスシロー中心に寿司ダネを扱うようになった。

「お茶と寿司屋と寿司ダネ」付きすぎの三題噺のようだが、実際にこうした経緯を経て、現在は年商64億円を扱う商社グループの一員として、公設市場の卸売会社として入場することになったのである。

尼崎市場は、水産、青果の卸、仲卸が営業する総合市場だが、平成29年に水産卸「神港魚類尼崎支社」が撤退したことで、今年12月から始まる市場申請に向けて水産卸の誘致が急務になっていた。

尼崎市場はJR尼崎駅から車で5分の立地にあるが、大阪本場・東部、神戸本場・東部。明石など近隣市場との競合が激しく、入場卸を公募していたが、既存の卸ではない業者から手が上がった。

一光園は市場卸ではないが、すでに昨年には千葉県船橋市場の仲卸として入場しており、首都圏のスシロー百数十店舗に寿司ダネを販売しており、船橋中央魚類の売上拡大に貢献している。

商社から市場流通への参入は、三菱商事(マルイチ産商)、ファーマインド(東京シティ青果)、ベニレイ(築地魚市場)、神明(東果大阪)などあるが、今回の一光園の水産卸進出は、改正市場法を追い風にした新たな市場再編の動きであり、さらに様々な取り組みが加速することになるだろう。